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多様性の時代、子どもに必要なコミュニケーション力とは

親が子どもにつけてほしい力として、真っ先に挙げられるコミュニケーション力。
しかし時代の変化につれ、必要とされるコミュニケーション力も以前とは違ってきています。
ますますグローバル化するこれからの時代、どんなコミュニケーション力を身につけておくべきかを考えました。

コミュニケーション力はますます重視されている
近年、コミュニケーション力を持つ人材を重視する傾向が続いています。例えば日本経済団体連合会(経団連)の調査(※1)によると、企業が新卒社員を採用する際、特に重視した要素のトップは13 年連続でコミュニケーション力です。また2001年にはコミュニケーション力を最も重視すると答えた企業は50%ほどでしたが、2018年には82%まで上がりました。この流れは今後ますます強まる見込みですが、求められるコミュニケーション力の内容は変化しているようです。

「和を以て貴しとなす」という言葉があるように、これまで日本では協調性が高く、波風を立てずにやっていくコミュニケーション力が評価されがちでした。「空気を読む」という表現からも伝わりますが、日本人は相手の言葉の裏にある真意や場の雰囲気を察する能力を発達させてきたわけです。

今後は多様性を受け入れ対応する力が必須
しかし急激なグローバル化を見てもわかるように、日本でも様々な人がいる社会が当たり前になりつつあります。これまでのような、ほとんどの人が共有していたはずの「普通」が通用せず、コミュニケーションが成り立たないというケースに直面することも増えていくでしょう。そんな時代に必要となるのが多様性を受け入れ、尊重するコミュニケーション力です。

とはいえ、多様性を尊重するのはなかなか難しいものです。多様性を尊重するとは、言い換えればお互いの違いを認め、自分と相手の両方の意見を大切にするということですが、表現の仕方によっては自分が否定されたと相手に受け取られてしまう恐れがあります。しかし違いは決して互いを否定し合うものではありません。「私とあなたは違うけれど、それは当然なのだから、まず違いを受け入れた上で話をしましょう」ということなのです。

多様性が進み、答えが1つではない社会で役立つコミュニケーション力は、まず自分の考え方をしっかり相手に伝える力、そして相手の考えを聞く力の上に成り立ちます。そうやって意見を交換する双方向のやりとりで行われていくといえます。そのような多様性を受け入れるコミュニケーション力が、今後を生きる子どもたちには必要といえるでしょう。

[コラム]
16~19歳以上の半数以上が「コミュニケーションは苦手」と感じている

文化庁が平成23年度に行った調査(※2)によると、「初めて会った人と話をする時に感じること」を苦手と感じる未成年の男女(16〜19歳)は53.8%と半数を超えていることがわかりました。

「自分の気持ちが伝わるように話す」「相手の話をよく聞く」などを難しいと感じている10代が多いようです。しかしこれらは、多様化する社会でコミュニケーションを円滑に進めるために、ぜひ身につけたいスキルでもあります。

続いては、子どもがこれらのスキルを体得するために親ができるサポートについてご紹介しましょう。

こうして伸ばそう!子どものコミュニケーション力
「多様性の時代に合わせたコミュニケーション力が必要といっても、うちの子はもともと人と話すのが得意ではないから……」と心配される親がいらっしゃるかもしれません。しかしコミュニケーション力の高低は、話し好きが左右するものではありません。例え口数が少なくても相手の意見を受け入れ、認め、さらに自分の意見を相手に伝えることができれば、十分にコミュニケーション力があるといえます。さらにコミュニケーション力は現在、後天的に身につけることが可能とされています。ですから親がサポートしてあげれば、子どものコミュニケーション力を伸ばすこともできるのです。

では子どものコミュニケーション力を伸ばすために、親は何をしてあげればよいのでしょうか。ここでは日常にすぐ取り入れられる、簡単な方法についてご紹介します。

コミュニケーション力を高めるサポート
まず、次の2つのスキルを身につけていきましょう。
1 相手の話をきちんと聞く
2 自分の考えを表現する
これらを身につけると、自分の意見をしっかり伝えながら相手の話も聞くという、お互いを尊重するコミュニケーションが可能になります。
1 相手の話をきちんと聞くためのサポート
◆まず親が子どもの話を聞く
親が子どもの話に耳を傾け、「聞くこと」の重要性を伝えましょう。話に途中で割り込んだり、頭から否定したりしないことを意識してみましょう。子どもの話を「つまり、こういうことね」と要約してみせるのも1つの手です。

◆ゆっくり、間を取って話す
子どもは耳から入ってきた情報を、大人ほど素早く処理することが難しいので、親が矢継ぎ早に話しかけると話の内容を理解できないかもしれません。子どもに話しかける時はゆっくりと、間を取って話してあげましょう。
2 自分の考えを表現するためのサポート
◆子どもの行動や発言に対して質問する
子どもが何げなくしたように見える行動や発言にも、必ずといっていいほど理由があります。なぜそうしたのか子どもに尋ねてみましょう。また子どもが好きだったり興味をもっていたりする物事について、その理由を説明させるのも、子どもの表現力を鍛えるきっかけになります。

◆様々な体験をさせる
子どもの表現力をアップさせるには、視覚や聴覚をはじめ触覚、嗅覚、味覚など五感を刺激する体験に触れさせてあげましょう。運動やダンスで体を動かしたり、芸術作品に触れたり、楽器を演奏したりする体験が子どもの表現力の幅を広げてくれます。

これから日本がさらにグローバル化するにしたがって、小・中・高校でも外国人の生徒が増えるでしょうし、海外の大学に進学するケースも珍しくなくなるでしょう。また社会人になれば関わる人の幅はさらに広がり、様々な人々や文化に触れる生活になるはずです。そんな時代を生きるこれからの子どもたちが、自分たちの可能性を存分に伸ばすためにも、コミュニケーション力は重要です。まずは、家庭ですぐに取り入れられそうなことから取り組んでみてください。

「アサーティブ・コミュニケーション」と「アサーション・トレーニング」
人々の多様性を受け入れ、尊重するコミュニケーション力の大切さについてご紹介してきましたが、「そんな力を身につけるためには、具体的にどうすれば?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ここでは、そういったコミュニケーション力を磨く「アサーティブ・コミュニケーション」という考え方と、具体的なトレーニング方法についてご紹介します。
自分も相手も大切にする アサーティブ・コミュニケーション
アサーティブ・コミュニケーションとは、自分と相手を尊重しながら意見を交わすコミュニケーションのことです。アサーティブ(assertive/形容詞)は「積極的な自己主張」という意味ですが、アサーティブ・コミュニケーションにおける自己主張とは、相手のことも尊重しながら、自分の意見や気持ちなどを率直に表現することを表しています。

アサーティブ・コミュニケーションを実現するには、相手を尊重しながら自分の主張を伝えるスキルを身につけることが必要です。その助けになるのが「アサーション(主張/名詞)・トレーニング」です。
アサーション・トレーニングを試してみよう
アサーション・トレーニングには次の4つのポイントを押さえながら行う方法があり、それぞれのポイントの頭文字をとって「DESC(デスク)法」と呼ばれています。ここでは親が子どもに片づけてほしい場合を例に、どう伝えればいいかDESC法を使ってご説明します。
1 Describe : 事実を描写する
最初に、現在の状況や相手の行動を客観的に描写します。
例)「もうすぐご飯なんだけれど、テーブルの上があなたの本やゲームで散らかっているよね」
2 Explain : 気持ちを説明する
状況や相手の行動に対し、自分の意見や感情を、攻撃的にならないよう伝えます。

例)「皆で気持ちよくご飯を食べたいから、テーブルの上はきれいな方がいいと思うの」
3 Specify : 求めるものを提案する
相手にどうしてほしいか、抽象的ではなく具体的に提案します。

例)「だからご飯の前に自分の持ち物を片づけてくれる?」
4 Choose : 相手の反応に対する行動を選択する
自分の提案に対し、相手が了承した場合と拒否した場合の行動を伝えます。
例)「そうしてくれると、お母さんはすごく助かるわ。もし無理ならとりあえずこの箱に入れておいて、あとで部屋に持っていってね」

お母さんが子どもに対して「食事の前には、言われなくても片づけるのが当たり前なのに」と内心、イライラしていても、もしかしたら子どもは何かに熱中していて、それが終わったら片づけようと思っていたかもしれません。そういった子どもの意見を尊重しなければ、「遊んだ後はすぐ片づけなさい!」と親が叱ってしまい、最悪はケンカになってしまう恐れもあります。それでは、互いを尊重したコミュニケーションとは言えません。

ここでご紹介したトレーニング方法を活用すれば、自分も相手も尊重しつつ、意見をやり取りできる可能性が広がります。この場合なら途中で手を止めたくない子どもに対し、「じゃあ、あと10分したら切り上げて片づけてくれる?」など、親も子も納得できる解決策が見つけられる可能性があるでしょう。アサーティブなものの見方・考え方で子どもと接し、親も子も適切な自己表現をするために役立ててみてください。

【出典】 (※1)2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果/日本経済団体連合会 https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf (※2)平成23年度「国語に関する世論調査」の結果の概要/文化庁 http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/ kokugo_yoronchosa/pdf/h23_chosa_kekka.pdf

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