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清風中学校・高等学校

進学教室浜学園が独自の切り口で中学校を取材し、その魅力をお伝えしていきます。

仏教教育を基盤とした指導によって「自利利他」の精神を育てる名門・清風中学校。めざすのは、「人の役に立ちたい」と考えることのできる男子の育成です。情報化が進む中で、ますます求められる「徳育」とは。
今回は、「知識構成型ジグソー法」などのユニークな活動も踏まえながら次代のリーダーを育成する「清風の教え」についてお伺いしてきました。
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清風中学校・高等学校 校長 平岡宏一先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

「人生のスイッチ」を入れて頑張れ!人生を変える教員の激励

―清風学園といえば、「生活指導や生徒への声かけが手厚く、細やかに子どもを見てくれる学校」として保護者の方から人気のある学校ですね。
その点についてお話するために、我が校の卒業生である宮村憲央君について紹介させてください。

宮村憲央君、いや、今は宮村先生とお呼びするべきでしょうが、彼は浜学園(上本町教室)出身で、清風学園で学んだあと、神戸薬科大学へ進学し、今は東京医科歯科大学の助教を勤めています。

彼が専門としているのは肝臓で、簡単にいえば「どういう酵素を取り除けば肝臓の痛みが軽減されるのか?」「どういう酵素を与えれば肝臓が早く復元できるのか?」といったことについて研究を進めているそうです。

彼が入学したのは清風中学校の理Ⅱコース。ところが、中学一年生の時点ではあまり学業成績がふるわず、理Ⅰコースへ移動となりました。部活動に関しても「剣道部で初段を取ったらやめよう」と決めていたら、中学一年であっさり取れてしまったので、すぐに辞めたというような生徒。はっきり、あっさりした性格の子どもでした。

本校は中高一貫校ですから、高校入試がなく、生活のリズムが6年間で一定になってしまいます。気が緩んではいけないということで、中学三年次には、成績が振るわない生徒を招いて「激励会」を行なっています(念のために申し上げておきますが、退学勧告ということでは全くありません)。生徒のうち5%程度が激励会に招かれるのですが、宮村先生もその時点では「激励会メンバー」入り。決して、勉強が大得意という生徒ではなかったのです。

そんな彼が高校へ進学したときのことです。担任の先生から「クラブ活動やったらどうや」とすすめられ、彼は新体操部に入部しました。ここでも彼は、剣道部のときと同じく「バク転と宙返りができたらやめよう」と決めていて、二年でそれが達成できたので、辞めようとしたそうです。

ところがクラブ顧問の先生がそのことを見抜き、「辞めたらあかん。最後までやり遂げたら、今までにないものをつかめるはずや!」と激励。宮村先生は素直な子どもでしたから、それを受け入れ、クラブ活動を続けました。

宮村先生いわく、「このときクラブを辞めなくてよかった」と。クラブ顧問の先生の言葉を受け入れ、最後まで続ける経験をしておいたからこそ、つらい研究生活であっても、続けていくことができる。清風の教員は厳しく、叱る時には叱る先生ばかりですが、一貫して持っているのは仏教的な「利他の心」です。生徒を導き、育てようとする態度をどの教員も持っている。それが、清風のいいところだと宮村先生は言ってくれました。

さて、中学時には成績の振るわなかった宮村先生ですが、高校に進んでからは勉強面でも大きく変わります。得意な化学で友達に負けたことをきっかけに一念発起し、理Ⅰコースで化学だけはトップの成績を取れるようになりました。それでも、進学した大学では、うまくいかなかったときもあったようです。

そんなとき、彼は清風中学校へ帰ってきてくれました。そして担任の先生に会い、「宮村はずっと勉強がだめだっただろ。でも宮村は変われたやろ。だから今度も大丈夫や。変わることができるはず。頑張れ!」と励ましてもらい、研究を続けました。そして彼は、ついにコロンビア大学で教鞭を執ることになったのです。宮村君、いや、宮村先生は、「人生のスイッチ」が入ったときに頑張れる生徒だったわけです。


情報化社会にこそ求められる「徳育」

―「人生のスイッチ」という言葉が出ましたが、宗教校だからこそできる清風の教育について、改めてお聞かせいただけますか。
私は、仏教を中心とした人間教育・人格教育は、「人生のスイッチ」が入ったときの基盤になってくれると思っています。物事が順調に進んでいる間ではなく、うまくいっていないときにこそ、自分を見つめ、どう進んでいくかが試される。そのときに基盤となるのが、宗教教育を通して培われた精神ではないでしょうか。

昔の教育というのは、「食育」「体育」「徳育」という基盤がまずあって、その上に「知育」が乗っているような形でした。ところが現代では、すべてを飛ばして「知育」だけを育てるような教育に偏りがちです。

現代は情報化社会です。昔なら、ある人物について「どこの大学を出ているか」程度しか分からなかったものが、今では少しでも過ちを犯すと、その情報は瞬く間に世の中に知れ渡ってしまう。あとからどれほど取り繕っても、信頼を取り返す術がありません。とても恐ろしいことですが、そんな時代だからこそ、成績・学歴偏重ではない、バランスのとれた人間力が問われるのではないかと思います。

この傾向は大学入試にもみられます。たとえば今年の東京大学の英語の入試問題では、自分の考えを書かせる問題が出題されました。資産家の親戚から「もしも私の財産を譲渡した場合、あなたはその財産をどう使うのか」と問われた設定で、この親戚を納得させる財産の使いみちについて英語で述べる問題です。

この設問で問われているのは、言うまでもなく、単純な知識ではないでしょう。「自分はどう生きるのか」「他人に対して何ができるのか」という難しい問題に対して、日頃から考え、表現できるかどうか。それをみているのでしょう。そういった面では、清風のように宗教教育を通じて人格教育ができる学校は、ますます求められる時代だと感じます。

正直なところ、少し前までは「宗教教育」というものに対してネガティブな印象を持つ人が多かったように思います。宗教校でも、宗教色をほとんど出さない方針の学校もありました。けれども、こんな時代だからこそ、宗教校であることのメリットをお伝えしていきたい。宗教教育とはどんな教育なのか、それを通して何が伝えられるのか、学校としてどういった個性があるのか。それを教員の側が理解し、具体的にお伝えしていく方が大切なことだと思います。


東大教授の指導を通して練り上げる「知識構成型ジグソー法」の授業

―清風中学校では、専門性の高いアクティブ・ラーニングを導入されているそうですね。「知識構成型ジグソー法」とは、一体どのような教育法なのでしょうか。
多くの学校で実施されているアクティブ・ラーニングでは、「オープンマインドで議論ができる」ことが最重要視されています。確かにそれは大切なことですが、私は、議論の際に「批判する側は、感情ではなく、論理的に批判すること」「批判された側は、その批判をきちんと受け入れ、自分の糧にすること」が大事だと思っており、その方法を教えることがアクティブ・ラーニングの目的だと考えています。

そのために清風では、「知識構成型ジグソー法」を取り入れています。これは簡単に説明すると、

① ある問いに対し、まずは一人で答えを考える
② 同じ資料を読み合うグループを作り、その資料に対する理解を深め、エキスパートになる
③ その後、違う資料を読んだ人が一人ずついるチームに組み替え、他の資料について話を聞きながら、多角的な検討を加えて答えを練る
④ チームそれぞれの納得解(答え)を発表する
⑤ 自分自身が初めに出した答えも変わっていく

という流れで考えを深める手法で、東京大学CoREFが独自に開発した学習法です。

たとえば、関西国際空港のインバウンド(海外からの旅行客)は、数年前まで年間160万人でした。それが、今年は8月までの時点で400万人を超える急成長をしています。関空への訪日客が成田・羽田空港を合わせたよりも多いというのは、一体なぜなのか?

このテーマについて、生徒たちには「親しみやすい気風」「食事」「国際観光都市へのアクセス」という三つのヒントを与えます。次に、ヒントごとにチームに分かれ、より深く調べる。最後にそれぞれのメンバーをシャッフルしたチームを作り、調べた知識を持ち寄って議論する。この流れを通して、最終的にそれぞれの生徒が多角的な考えを踏まえた答えを持つことができる……というのが、「知識構成型ジグソー法」なのです。

何か議論をするにあたって、初めから一人でベストの結論を出せることはありません。とりあえず出してみて、調べながら、話し合いながらブラッシュアップしていくのがあるべき議論の形です。

清風には実際に「知識構成型ジグソー法」の開発者である東京大学の白水始先生に来ていただき、教案を添削していただきながら授業を行なっています。
職員研修の様子

生徒からの反応もよく、「はじめはあまり興味が湧かなかったが、受けてみると楽しかった」という意見が多かったですね。中には、「こんなにも近代的、合理的な方法がなぜ広まってこなかったのか」とまで言う生徒もいます(笑)。新しい大学入試に限らず、これからの時代には、絶対に求められる力なのだと思います。


確かな基礎知識を養う「手書き指導の存在感」

―専門の先生方による「論文指導」が人気だとお伺いしております。「徹底して手で書かせる」指導についてお聞かせください。
清風では、入試問題への対応力を高め、楽しく国語を学び、表現力を身につける「国語力アッププロジェクト」を中学一年次から行なっているほか、専門性の高い「読書感想文・小論文指導」を行なっています。

文章をしっかり添削してもらう機会というのは、大学へ行ってもなかなかありません。清風には、添削専門のスタッフが八十名以上在籍しており、一人一人の答案に細かく指導を入れながら、生徒の表現力を養っています。

指導をしていると感じるのですが、今の子どもたちは、板書を写すのがたいへん苦手なようです。指の力も弱く、鉛筆でたくさん書くと疲れてしまう。パソコンやタブレット端末の普及が原因になっているのかもしれません。
電子機器は、記憶媒体としては優秀なアイテムです。けれども個人的な意見としては、知識というのは、文章をパソコンやタブレット端末で打つだけでは、なかなか定着しないと思うのです。

「五感をフルに使って学習した方が定着する」という意見もあるように、成長段階にある子どもたちには、しんどくても、なるべく手で書くトレーニングをしてもらいたい。「国語力アッププロジェクト」「読書感想文・小論文指導」はそのためのトレーニングです。タブレットをはじめとした記憶媒体を活用するのは、基礎知識がつき、勉強の仕方が確定してから。つまり、大人になってからでもいいのではないでしょうか。


課外活動を通して「プロセスと結果」の結びつきを感じてほしい

―クラブ活動や課外活動も活発でいらっしゃるそうですね。
課外活動についてホットな話題といえば、清風には現在、なんとあの「スーパーコンピューター京」の開発責任者である井上愛一郎先生が常勤顧問で来てくださっています。清風の生徒たちに、コンピューターの「使用方法」ではなく、「どういうコンセプトで作られたのか」というところから指導をしてくださっており、大変嬉しく感じております。

コンピューターだけの話ではありませんが、誰かが新しいものを作り、その使い方を考えるだけでは不充分だと思うのです。それでは、単にどこかの製品を使わされているだけでしょう。そうではなく、何を意図してその製品が作られたのか。そのコンセプトを理解すれば、おのずと新しい使い方を思いつくでしょうし、それだけにとどまらず、独自の製品の開発にも結びつくでしょう。

井上先生のお話は専門性が高いので、生徒たちもすぐに理解しているわけではありません。けれども徐々に知的好奇心を掻き立てられ、いい刺激になっているようです。

また、クラブ活動に関して言えば、とくに活躍めざましいのはヨット部です。インターハイでも過去2回優勝しているほか、2013年には世界選手権への出場も果たしました。

個人的には、クラブ活動は6年間を通して続けてみてほしいと考えています。コミュニケーション能力が育つというのもありますし、何らかの結果を求めて、それに対して努力する。練習のプロセスによっては、その努力が報われたり、報われなかったりする。体育会系でも、文化系でも構いません。クラブ活動では「努力と結果の結びつき」がはっきりしているので、「頑張れば報われる」ということを肌で感じられるのです。

長い人生を生きていれば、やりたくないこと、しんどいことをやらなければならないタイミングもあります。そんなとき、「なんでこんなことをせなあかんのや……」と後ろ向きに考えるばかりでは、人生がつまらなくなってしまう。そうではなくて、「今、しんどい思いをしているけれども、これがゆくゆくは良い結果につながるのだ」と考えられるような人生を送ってほしいのです。その考え方を養えるのが、クラブ活動の重要な意義ではないかと思っています。


頭ごなしに「やれ」は効かない、「子どもをバカにしない」指導

―最後に、生徒への生活指導において、清風中学校の先生方が大事にされていることは何でしょうか。
数年前のことですが、『「学力」の経済学』で有名な、慶應義塾大学の中室牧子先生と対談する機会をいただきました。

中室先生もご著作でおっしゃっているように、アメリカでは、アイビーリーグ(ハーバード大をはじめとする、名門私立大学)を卒業しているかどうかが、子どもの生涯年収を大きく左右するそうです。一方で日本では、同じ大学の出身であっても生涯賃金には個人差が大きく、「どこの大学を出たから」ということがそこまで影響を及ぼさない。では、何が子どもの生涯賃金を左右するか? それは、「しつけ」だというのです。

適切なしつけが生涯賃金を左右する。中室先生は、それをエビデンス(データ)に基づいた分析によって明らかにされたわけですが、私個人としても、近年の社会ではますますしつけが重要になってくると感じています。
子どもがみんなスマホを持っている時代では、バイオレンスな情報、わいせつな情報がダイレクトに子どもに届いてしまう。そういった情報に直面したとき、悪い影響を受けることなく、自分を律して生きていけるか。その素地を作るのが、学校教育でのしつけだと思うのです。

「最近の子どもは根性がない」と言われます。確かに最近の子どもたちには、頭ごなしの「やれ」は効かない。けれども、「なぜそうしなければならないのか?」という目的・理由を説明すれば、ものすごい力で頑張れる。それが最近の子どもであると思います。

頭ごなしに「やれ」と怒鳴るような子どもをバカにしたような指導では、子どもの心に響きません。清風の生活指導では、「なぜ、そうしなければならないのか?」を説明し、子どもが納得できるような話し方をするように心がけています。

清風には兄弟で来てくれる生徒も多くなっています。ときには、保護者の方から厳しい意見をいただくこともありますが、それも学校を思ってくださるからこそでしょう。これからも、安心感のある学校でありたいと考えています。


―どうもありがとうございました。

取材日:2017年12月13日
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