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関西大学第一中学校・高等学校

進学教室浜学園が独自の切り口で中学校を取材し、その魅力をお伝えしていきます。

広大で緑豊かな関西大学千里山キャンパスに隣接する関西大学第一中学校・高等学校。今回お話を伺った関西大学第一中学校には、名物行事として知られる宿泊行事(自然教室)があります。和歌山日置川(ひきがわ)地区で中学2年生が民泊体験をするというこの行事は、今年で10周年となり、記念行事が行われました。今回は自然教室のご様子を中心に、教頭である大西先生にお話を伺いました。
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関西大学第一中学校・高等学校 教頭 大西隆先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

自然や地域と触れ合う中で、諸問題に気づかせる

―本日はよろしくお願いいたします。まず、この自然教室という宿泊行事はどのような目的で実施されているのでしょうか。
本校の中学2年生は、2010年から和歌山県の日置川地区で民泊体験を行っています。この自然教室は本年度で10回目となりました。自然教室の目的は、自然や地域と触れ合う中で、環境問題や社会問題に気づいてもらうところにあります。2009年以前は長野県で自然教室を行っていましたが、その場所が使えなくなり、代わりの場所を探すことになりました。そこで、当時流行であった民泊体験を組み込むことに決めたのです。民泊先を探すのに、北は北海道から南は沖縄まで、様々な地域を見学しました。そんな中出会ったのが、今の自然教室の舞台である和歌山県の日置川地域です。この地域は、本校から距離的に近い点、海・山・川が全て近くにある点が魅力でした。我々人間が安心して食事をとるのには、きれいな空気・水・土が必要だと考えています。だからこそ、そのような環境を守っており我々よりも現在の環境問題について知っている一次産業従事者に話を聞こう、ということで民泊という形式を取りました。農業に携わる人に講演に来てもらってもいいのですが、その場合は話す人と話を聞く人の比率が1対240になってしまいます。しかし、民泊では2対4というように話し手との距離が縮まります。距離が縮まれば、生徒たちは日常のちょっとした話にも耳を傾けるようになります。お世話になっている日置川地域は、少子高齢化や限界集落など、様々な問題を抱えている地域でもあります。このような地域に暮らす受け入れ家庭の皆さんの生活スタイルや、暮らしの環境を生徒たちが自分の目で見ることで、問題意識も芽生えてくると考えています。また、本校の生徒は中学受験を経て入学してきているので、「地球温暖化」や「オゾン層の破壊」といった用語は知っています。しかし、それを日常生活で意識した行動はできていないのが現実です。自然教室において、コンピュータやテレビから離れて、どっぷりと自然につかって環境学習を行うことで、自分たちの足元から環境について考えてほしいという思いもあります。


水害をきっかけとした強いつながり

―次に、宿泊先のことについて少し詳しくお聞かせくださいますか。
本校が自然教室を実施するにあたってお世話になっているのが「一般社団法人 南紀州交流公社」です。こちらは発足5年目から利用しているのですが、当時の公社は240人もの大きな学校の民泊体験を受け入れたことがなく、8月の下見時点では十何軒か受け入れ家庭が足りないという状況からのスタートでした。しかし、今では地域にすっかり解け込めるようになり、地域と本校のつながりも強いものとなりました。
2011年の9月に日置川地域は水害に遭ったのですが、初年度の2010年に自然教室でお世話になった学年の生徒たちから「何かできないか」という声があがりました。そこで決まったのが、お世話になった受け入れ家庭の皆さんに手紙を書くということでした。クラス替えのために班のメンバーはバラバラになってしまっていますが、自然教室の班長を中心に心を込めて手紙を書いていました。驚いたことは、普段提出物を期限までに出さない生徒も含めて全員がぴったりと締め切りまでに手紙を提出したということでした。全員からの手紙を取りまとめて、日置川地域に送ったところ、一斉に返事が返ってきました。また、直後に高校の文化祭があったのですが、当時の高校3年生から、「後輩がお世話になった地域に、売り上げの一部を寄付したい」という申し出がありました。さらに、「現地に行ったこともない高校生が寄付をしてくれるのだから、中学生の親も黙ってはいられん!」とのことで、中学校のPTAがバザーを行い、そこでの売り上げも寄付することになりました。両者合わせて何十万円という金額が集まり、それを全額日置川地域の皆さんに役立ててもらうことになりました。これは新聞の記事として掲載されたり、日置川地域のみなさんからお礼の手紙をいただいたりなど、大きな話題となりました。水害をきっかけとしたこのような行動を通して、地域と学校の距離がぐっと縮まりました。

日置川地域でしかできない様々な体験

―訪問先では、具体的にどのような活動が行われるのでしょうか。実際に起こった出来事も交えてお話しいただけますでしょうか。
この自然教室は3泊4日の日程で行われます。そのうちの2泊3日を民泊先で過ごします。入村式で民泊先の家族と対面し、各家庭に向かいます。最初のプログラムは昼食作り。午後からは家業体験を行います。このプログラムでは、いつも日置川地域の皆さんが行っている仕事を体験するというものです。生徒たちのために植えてくれたイモを掘ったり、コンニャクイモからコンニャクをつくったり。農作業が体験の中心となっていますが、各家庭によって異なる体験をさせていただきます。また、マツタケ狩りに行ってマツタケご飯を作った班もあったと聞いています。2日目の午前は、「ほんまもん体験」を行います。自然教室のために取ってつけたような体験ではなく、無理しない範囲でできることを体験させてもらいます。小鷹網という日置川地域でしか使用されていない網を使ってアユを捕まえたり、紀州備長炭の窯出しや窯入れ体験を行ったりの活動が行われます。これは日置川地域でしかできない経験をさせてもらえる貴重な時間となっています。
そして、午後には地域への貢献活動を行います。地元住民の皆さんからの温かいもてなしに対して、何らかの形で恩返しをするのがこの活動です。ある年は、地元にある「紀伊日置駅」駅舎のペンキ塗りや掃除を行いました。また、海沿いから標高22mの丘の上に移転した消防署までの避難体験を行い、それをふまえてポスターを作成した年もありました。このポスターは日本語・英語・中国語で作成され、地域に贈呈させていただきました。
他にも、県の指定文化財になろうとしている古跡へ向かう階段が整えられていないということで、階段の整備を行いました。私は生徒のころから30年以上本校を見ていますが、本校の弱点はボランティア活動やチャリティー精神に触れる機会が少ないということでした。しかし、だからといって強制的にボランティア活動を行うのは違う気がしていました。そんなときに無理なくできる体験だなと感じたのがこの活動でした。このような体験は、生徒が「地域の役に立つことができた」と感じられるとともに、短期間ながらも生徒と地域の相互作用が生み出される点において価値が大きいと考えています。
最終日の3日目は帰りの列車で食べる弁当を一緒に作ります。ちなみに生徒たちは貸し切り列車で日置川からの帰路に就きます。
一つ、民泊中に実際に起きた出来事を紹介します。ある年、生徒がお世話になっている家でおばあさんが倒れてしまったということがありました。一緒にお世話をしてくれていたおじいさんは、声が出にくかったため、119番通報をすることができませんでした。そんな中、泊まっていた生徒たちがまず119番通報を行い、その後に教員がいる本部に連絡をしてきました。教員や現地スタッフが駆けつける頃には、すでに救急車が来ており、迅速な対応がなされました。幸いおばあさんは貧血のために倒れただけだったのですが、地域では「一中が来ていなかったらおばあさんはどうなっていたか」と言ってくださり、感謝状もいただきました。その場にいた生徒は、「やはり高齢化や過疎はよくないですね」と身を持って地域が抱える問題を感じられたようです。このように、授業では教えていないことにどのように対応するかを考える場ともなっています。
また、生徒たちを受け入れてくれる住民の皆さんからは「民泊に子どもたちがやってくるから、前もって掃除をするし布団も干しておく」という声が聞かれます。本校の生徒を孫みたいに思って接してくださっているからこそ、生徒たちは一生の思い出に残るような濃密な時間を過ごせているのではないでしょうか。


受け入れ家庭と打ち解けていき、ものを見る視点が広がっていく

―参加された生徒さんが現地で活動をされている間のご様子と、その経験をされた後に学校生活などで見られる変化について教えていただけますか。生徒さんたちはどんなことを学ばれたのでしょうか。
先ほども述べたように、初日に入村式を行いそれぞれの家庭に分かれるのですが、入村式のときはガチガチに緊張して「こんにちは。お願いします。」しか話しません。しかし、一緒に昼食を作って食べ終わるころには、受け入れ家庭の皆さんと徐々に打ち解け始めます。その家庭に子どもや犬がいれば、生徒たちはより早く打ち解けるようです。毎年犬のほうが迷惑がるほど、生徒たちは犬をかわいがっています。1日目の夕方に、早くも受け入れ家庭の皆さんとともに海岸で遊んでいる姿を目にしたこともあります。そして、2泊3日を過ごした地域の皆さんや受け入れ家庭の皆さんと別れるときは、涙を流して別れを惜しんでいます。短期間にも関わらず、それほど受け入れ家庭の皆さんと打ち解け、自然に囲まれて普段できないような経験ができたからこそだと思います。自然教室が終わった後、プライベートで同じメンバーで同じ家に泊まりに行った生徒もいると聞いています。
大阪に帰ってきてからは、家では食べなかったものを食べるようになったという声や、野菜のおいしさに気づけたという声が聞かれます。また、反抗期のために家で全く話さなかった生徒が、帰った後は日置川で経験したことを夢中でしゃべるようになったという話も保護者から聞いたことがあります。作文など、生徒たちが書いたものを見ると、たった3日間の間に大人になったなぁということが感じられます。教員を志す生徒の中には、自分が先生になったら自然に触れ合えるこのような機会を体験させたいと思うようになったとつづる生徒もいます。生徒たちにとって一生忘れることのできない貴重な経験になっているようです。自然に触れるという大阪ではなかなかできない経験から、人間にとって本当に必要なものをそれぞれ考える機会にもなっています。米1粒、キャベツの葉1枚にどれほどの手がかかっているのかを実感し、食べ物を大切にするようになるとともに、ものを見る視点が広がり、豊かになった生徒の姿が見られます。

「自分は何ができるのか」を考え行動できる人に

―この行事の他にも御校の教育方針を反映した活動がいろいろおありだと思いますが、それらの活動を通じて御校がどのような人間づくりを志していらっしゃるかお聞かせ願えますか。
本校で経験できる様々な活動を通して、生徒には他人の出来事に関心を持ち、「自分は何ができるのか」を考え行動できる人になってほしいです。
今までに自然教室についてお話ししてきましたが、本校の教育方針が反映されたプログラムの一つとして、「能勢プロジェクト」というものもあります。これは2009年に開始され、年に1度大阪の能勢で、地域の皆さんが困っていることを手伝うボランティア体験を行うものです。活動内容は、地域の皆さんが必要なことをするということで、現地に行くまでわかりません。耕作放棄地にそのまま放置されていた刈られた草を燃やしたり、獣害を防ぐために電気柵を立てたり。能勢に暮らす方々はご高齢の方が多いため、電気柵に使用される支柱を立てるのが困難という現状がありました。そこで、その時に行った学年の240人中100人ほどが支柱立てに取り組みました。100人が2時間半支柱を立て続けた結果、2.7kmにもわたる電気柵を立てることができました。来た時とは光景が一変したのが印象的でした。閉会の際に、地元の方が「今日はほんまにありがとうなぁ」と生徒たちに声をかけてくださり、その言葉を聞いた生徒たちの顔がパーッと明るくなったのが分かりました。その時に、自分たちが行った活動に対してやり甲斐が感じられるため、このプロジェクトは続くと確信しました。ある年は農地の整備を行い、次の春に田んぼになった土地でお米の収穫もでき、その次の年にはその土地で育ったお米でおにぎりを作り食べることができました。各学年が異なる時期に能勢で活動するため、連続性を持った活動ができるのも特徴です。今年は、台風により詰まった水路を元通りにしてほしいとの要望を受け、それに基づいた活動を行いました。このような活動を通して生徒たちに、「ボランティア活動って意外と簡単」ということを伝えたいのです。
このように、活動のベースには環境への意識がありますが、活動を通して環境問題に目を向けるだけでなく、高齢化やゴミ問題など、今の日本社会が抱える様々な問題に気づくことができます。これは、近年耳目を集めるようになったSDGsにもつながっていくと考えています。特にSDGsの15番目の目標は「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」というものですので、本校の活動を通して実践できる内容ではないでしょうか。しかも、本校の活動はSDGsありきで計画されたものではありません。活動の延長上にSDGsがやってきたのです。その点においても、主体的で中身の濃い活動ができていると思います。
自然教室や能勢プロジェクトを経た後に、中学3年生の5月に修学旅行で訪れる沖縄でも環境学習を行います。海の美しさに感動して終わるのではなく、海岸清掃などを通してこれらのごみはどこから来たのかを考えたり、サンゴやマングローブの生態について考えたりなど、広い視野を持ってもらえるような活動をしています。
本校で経験できる様々な活動を、自分は何ができるのかを考えるきっかけにしてほしいと願っています。



―どうもありがとうございました。
⇒関西大学第一中学校HP 取材日:2019年11月29日
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