こんにちは。桃山学院中学校で理科の先生をしている山下といいます。どうぞよろしく!
今日は桃中の理科室から始まったある実験について、少しだけお話したいと思います。
昨年の春のことです。放課後、私が理科室の掃除をしていると、一人の男子生徒が真剣な面持ちで声をかけてきました。
「先生。僕、この前の体育の授業で気を付けして、そのままジッとしようとしたんですが・・・・・・」
「うんうん。」
「なんか止まっているつもりなのに、微妙に小さくゆれている気がするんです!ロボットみたいに完全にピタッと止まれていないんです。これって僕だけですか?」
「お、面白いことに気付いたね!実験してみようか!」
私たちは2人で保健室に行き、図1のような装置を組み立てました。筆ペンの先がちょうど触れるくらいの位置にボール紙を固定します。
「これでいいですか?」
「じゃあ1分間、ジッとしていてね!よーい、スタート!」
1分待ってからボール紙を見てみると、図2のようなペンの跡が!!
「あっ、僕やっぱりゆれてたのか!・・・・・・僕だけなのかな?」
「よし、そしたら先生もやってみようか」
という事で私もやってみました(図3)。
「おお、先生もゆれてた!よかったー!」
「うん、実はヒトはみんな立ちながら完全に静止することはできないんだ。」
「どういう事ですか?」
皆さんは、自分がどうやって立っているか考えた事はありますか?
実は人間はジッと立っている時でも微妙にゆれています(姿勢動揺といいます)。
良いタイミングで足の筋肉に力を入れたり抜いたりして、体が傾きすぎないようにしながら直立不動を保っているんです。
直立不動というと力を入れ続けてカチンコチンに固まりながら立っているイメージですが、実は違ってて、体が傾きすぎた時にだけ筋肉を使い、それ以外の時は力を抜いているんです。
こうする事で立つために使うエネルギーを10分の1にまで減らすことができる、つまり省エネにつながるんですね。
この内容は大阪大学のバイオダイナミクス研究室で研究されていて、パーキンソン病などで起こる運動障害の研究にも応用されています。もし気になったら調べてみてくださいね!
ともかく彼の心配も解消し、めでたしめでたし!
こういう斬新な疑問がたくさん湧き上がってくる桃中は、やっぱり個性豊かなんだなあと感じます。こんなお話はまだまだたくさんありますので、また次回紹介したいと思います!
ではでは。
桃山学院中学校
進学教室浜学園