常翔啓光学園中学校で理科を担当している北田広明です。よろしくお願いします。
中学校に入学して、理科で一番最初に学習する単元は、“植物”です。植物のつくりやはたらきを学習しますが、先日こんな質問がありました。
“先生、葉っぱは、何で緑色なんですか?”
樹木の葉っぱは緑色ですし、野菜の葉っぱも緑色ですし、当たり前と言えば当たり前です。そうしたら、葉緑素があるからや!” と他の生徒から意見が出ました。確かにその通りです。
植物の葉にある葉緑素(葉緑体)では、光合成を行っています。原料は、葉の裏にある気孔から取りこむ“二酸化炭素”と、根から取りこむ“水”です。これらを原料にして、さらに日光の光エネルギーを使って、“デンプンと酸素”を作り出すはたらきです。
1882年ドイツのエンゲルマンは、アオミドロと好気性細菌(酸素を好む最近)を使って、プリズムで分光(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色の虹色に分けること)したいろいろな色の光をアオミドロにあてる実験を行いました。その結果、好気性細菌は青色や赤色の特定の色の光が当たっている部分に集まり、他の色の光が当たっている部分や葉緑体のない部分には集まらないことを明らかにしました。
実は、葉緑素(葉緑体)は光を吸収します。光を吸収する部分を光合成色素と言いますが、有名なものでは、“クロロフィル”や“カロテン”があります。カロテンはニンジンに含まれている色素です。実際にクロロフィルの抽出液(クロロフィルだけを取り出した液体)に白色光(日光)を通し、その光を先ほどのエンゲルマンの実験と同様にプリズムで分光すると、青色と赤色の光のみが吸収されるので、その部分だけが暗くなります。
“葉っぱの色がなぜ緑色か?”もうおわかりですね。光合成に必要な光は、青色と赤色であってその他の色は、葉っぱで反射したり、葉っぱを通り抜けて我々の目に飛び込んでくるので、緑色に見えるのです。 クロロフィルやカロテン以外にも光合成色素はたくさんあります。光合成色素の種類によって、吸収する光の色も異なります。人も性格がいろいろなように葉っぱの性質もいろいろです。なので、赤い葉っぱや黄色い葉っぱが存在するのです。赤い葉っぱは、光合成に赤い光を必要としませんが、それでも光合成を行っています。
葉っぱの性質を最大限利用し、効率よく光合成を行わせる植物工場が最近ビルの中などにできています。見た人はいますか? 日光のかわりに、LEDを使って、青色の光と赤色の光だけを植物に当てます。写真は、野菜を育てている植物工場の様子ですが、あやしい光景ですよね。でも野菜にとっては、欲しい光だけが当たっているので、最高の光条件なのです。
普段目にしている葉っぱもなかなか奥が深いですね。理科って面白いですね!
参考文献 フォトサイエンス生物図録(数研出版)【転載禁止】
写真提供 株式会社キーストーンテクノロジー【転載禁止】
常翔啓光学園中学校