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【中学受験】有名中学現役教諭の”理科”特別授業~日常にあるものの原子を感じるには~

有名中の授業は、好奇心をくすぐる仕掛けが盛りだくさん。そして、学ぶことの本質を突いた授業は、探求心あふれる生徒を育てます。さあ、あなたも知的な冒険に出かけましょう!

原子や分子の大きさを感じたことはありますか?

執筆:北嶺中・高等学校 理科教諭 桑原 宏樹


 小学生の皆さん、こんにちは。皆さんは原子や分子を知っていますか?身の回りの物を細かく細かく切っていくときに、それ以上切ると、元々何の種類の物だったのかわからなくなる(小さくて、ぐちゃぐちゃで何が何だかわからなくなったという意味ではありません。ぐちゃぐちゃになっても、何であるかを調べる方法はあります。もっともっともっと細かくしていった時の話です)一歩手前の小さい粒が原子です。(ちなみに、原子をさらに切るとどの原子も陽子と電子と中性子という3種類の粒になってしまいます。それらの個数の違いが原子の種類(元素)の違いになります)

 例えば水を細かく細かく切っていくと「水の素(もと)になる原子」=「水素原子H」2つと「酸(す)っぱいの素になる原子」=「酸素原子O」1つになります。水分子(原子がいくつかつながったもの)は下の絵のように、ブーメランみたいに曲がっています。

 この水分子の形や大きさを感じたり・考えたりしたことはありますか?

 地球を一億分の一まで小さくすると皆さんの頭よりもちょっと小さくなります(直径12.5 cm)。皆さんの頭を一億分の一に小さくすると原子よりちょっと大きくなります。こんなことを聞いても、地球の大きさが実感できないので厳しい話ですよね。

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ダイズとゴマを比べると?

 何か原子や分子の大きさを実感できる現象はないものでしょうか?

 有名な質量(おもさ)保存の法則で知っている人が多いと思いますが、どんなもの同士でも「おもさの足し算」は成り立ちます。でも、「体積の足し算」は同じもの同士でしか成り立ちません。

 例えば、ダイズ50 gとゴマ50 gを混ぜると当然100 gになりますが、ダイズ50 cm3とゴマ50 cm3を混ぜても100 cm3にはなりません。それは、元々一粒がゴマより大きいダイズ50 cm3中にあったすき間に、より小さなゴマが入りこむからです。

 この話で出てきたダイズやゴマは粒が見えます。ダイズやゴマは人から見ればとても小さいですが、頑張れば、数えることもできますよね。

アルコールと水を比べてみよう
 アルコール(お酒の成分)と水でも同じような実験ができます。アルコール50 cm3と水50 cm3を混ぜると100 cm3よりも少なくなります。アルコールや水は粒が見えませんので数えることもできません。そもそも液体ですものね。これでも一億分の一は実感できませんが、心の目でこの現象を想像してみましょう。そのためにはアルコールの分子の形や大きさに着目することが必要です。

 アルコールは木炭を細かく細かく切っていったときにできる「炭の素になる原子」=「炭素原子C」2つと水素原子6つと酸素原子1つが下の絵のようにつながっています。

 ちょっと水分子より大きいですね。ダイズとゴマの話と合わせると、アルコール分子がダイズで水分子がゴマということになりますね。光学顕微鏡で見ても粒の見えない小さな小さな原子・分子の世界でも似たようなことが起こっているのですね。

 目に見えない世界を原子や分子から想像したり、一億倍大きなこの世界から想像したりする楽しみを化学は教えてくれます。いっぱい学んでいきましょうね。

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