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【中学受験】有名中学現役教諭の”数学”特別授業~ゲームから考える算数~

有名中の授業は、好奇心をくすぐる仕掛けが盛りだくさん。そして、学ぶことの本質を突いた授業は、探求心あふれる生徒を育てます。さあ、あなたも知的な冒険に出かけましょう!

ゲームから考える算数

執筆:北嶺中・高等学校 数学科教諭 小刀禰 幹朗

2023年にヒットしたパズルゲームを知っていますか?
 2023年に人気が出たパズルゲームがあります。ルールは単純ですが、アイデア次第で大ヒットをさせることができるという例だと思います。

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ゲームの内容とは?
 ゲームの内容を簡単に説明します。
 異なる11種類のフルーツがあり、種類ごとで少しずつ大きさが違います。そのフルーツがランダムで1つずつ出てくるので、それを箱の中に落としていきます。その箱の中で、同じ大きさ(種類)のフルーツがくっつくと「進化」して、一回り大きな別のフルーツになります。同じ大きさ(種類)のフルーツをくっつけてどんどん進化させ、大きいフルーツを作っていきます。目標は、11種類の中で最も大きいフルーツを作ることです。ただし、ランダムで出てくるフルーツは11種類のうち小さい方から5つの種類のフルーツだけです。

このゲームを数を使って表すと?
 このゲームを、数を使って表すことを考えてみます。(ただし、ゲームの中の「得点(スコア)」とは別の視点です。)

ゲームでは11種類のフルーツがあり少しずつ大きさが違うため、11種類の異なる数でフルーツを表すことにしましょう。

11種類の数を使うので、そのまま1から11の数を使う、ということにすると少し複雑になります。同じ数がくっついたときに「進化」することを表さなければなりません。

例えば、(1)と(1)がくっつくと、(2)になるとします。 次に(2)と(2)がくっついたときに(3)になるというルールも、ありかもしれません。 ただ、(2)と(2)がくっついて(3)になるよりは、(2)と(2)がくっつくと(4)となる方がわかりやすいです。

そこで、同じフルーツがくっついて「進化」することを、同じ数がくっついたときに足し算をすることで表すことにします。たとえば(2)と(2)がくっつくと(4)になるということです。

では、順番に1つずつ出てくる数がどのように進化(足し算)していくかを考えます。 左から順番に1つずつ出てくる数が、すでに出てきていた数にくっつきます。同じ数なら進化(足し算)し、違う数ならそのまま隣にかくことにします。下の3つの例を見てください。

例1: (1)+(1)→(2)
例2:(2)+(1)(4)→(2)(1)(4) 
例3:(2)+(2)(4)→(8)

+の左側の赤字の数が新しく出てきた数で、→の右はくっついたあとの状態です。
例1では、すでにあった(1)とくっついて(2)に進化しました。
例2では、進化できずにそのまま(2)が(1)の横にくっつきました。
例3では、(2)と(2)でまず(4)に進化し、そのまま(4)と(4)で(8)に進化しました。

このようなルールにすると、同じ数同士を足すので、出てくる11種類の数は
(1)(2)(4)(8)(16)(32)(64)(128)(256)(512)(1024) となります。

ゲームのルールと同じにすると、この11種類の数のうち小さい方から5つの数だけがランダムで1つずつ出てきます。すなわち(1)、(2)、(4)、(8)、(16)の5つだけが新しく出てくる数です。この数をくっつけて、最終的に(1024)を作ることを目指します。

最も早くできるケースは?
 さて、(1024)を作るのに最も早くできるケースはどのような場合でしょうか。 それは、最初に(16)が出て、その後も(16)が出続ける場合です。順番に書いてみます。

1個目(16) (※1個目の数なので、そのまま)
2個目(16)+(16)→(32)
3個目(16)+(32)→(16)(32)
4個目(16)+(16)(32)→(64)
5個目(16)+(64)→(16)(64)

 まだまだ先は長そうです。何個目の(16)で(1024)になるか分かりますか?

 答えは簡単で、1024÷16=64から64個目の(16)で(1024)となります。

(1)ばかり出続けると?
 つぎに(1)ばかり出続けるときを考えると、1024個の(1)で(1024)を作ります。(1024)になる直前の状態は、下のようになります。

(1)+(1)(2)(4)(8)(16)(32)(64)(128)(256)(512)→(1024)

これを式で表してみると次のようになります。

1+(1+2+4+8+16+32+64+128+256+512)=1024

 上の式の―の部分は、倍々にしていく数を足している状態で、これは「等比数列(とうひすうれつ)の和」というものになり、高校1,2年生で習います。
 この和を求める公式もあり、一つずつ足さなくても和を求めることができます。

いろいろな視点で物事を見てみよう!
 ただ、実際のゲームでは大きさ(種類)の違うフルーツが1つずつランダムの順番で出てくるので、思ったように進化をさせられないこともあります。落とす場所を調整して箱の中にすでにあるフルーツを目がけて落とし、進化させることもできます。

 イメージは下の図のようになり、なかなか(1024) までの「進化」をさせることは難しいです。

 普段遊んでいるゲームでも、算数の考え方はかくれています。いろいろな視点で物事を見てみる習慣があるといいですね。

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