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タイムマシンがあったら

四天王寺高等学校中学校 八十住 慧史先生


  「昨日提出だった課題今やっとできた。でも○×先生はやたら遅れに厳しいしなー」 「それな。でもワンチャンいけるかもやしとりま出しに行ってみたら???」 これまで学校の教員として10歳20歳年下の生徒達と過ごして来て、自分では使わないような彼女たちの世代の新鮮な言葉遣いを耳にすることが多々ありました。

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ここ5~10年くらいで言うと「とりま(=とりあえずまあ)」「それな(=同意のことば)」「ワンチャン(=ワンチャンスある、もしかしたらの意味)」の三つが印象的です。こういうのは大体、テレビの特集やネット記事などで紹介されるのを見るのが先。それを後から身のまわりで聞いたりするから、「あっネットで見たあれだ!」って有名人を見た時のような気持ちになります。

私はこれらのたぐいの言葉にふれるのがとても好きです。人によっては「言葉の乱れだ」とか「きれいな言葉を使おう」のような感想を持つ場合もありますが、そもそも「乱れ」とは「整って」いる状態が「普通」だからこそ感じるものであって、「乱れ」ている状態が「普通」になればそれが「乱れ」たものだとは思わなくなります。「きれいな言葉」も一人一人の感じ方に左右されるものであって、「きれいな言葉とは何か」をひととおりに決めることは難しい。何より、言葉には社会に生きる全ての人が使いたいものを自然と使い、それによって変化していくという性質があります。これが「言葉は生き物」と言われるゆえんです。新しい言葉にふれると、そういった言葉の細胞分裂?突然変異?誕生と絶滅?のような現象に立ちあっているワクワク感が起こります。

皆さんが中学校から学ぶ古文の授業では様々な言葉の変遷に触れることが可能です。古代の「あわれ」という言葉には「かわいらしい」「なつかしい」などの多様な意味が含まれていたり、「ありがたし(ありがたい)」は「めずらしい」という意味だったり、そもそも現在には存在しない言葉がいくつもあったり・・・。そういう例を見ていると、「月」や「花」は1000年前も「月」や「花」と呼ばれていたという事実がなんだか不思議なことのようにも思えてきます。先ほど挙げた例に戻ると、「とりま」や「それな」は今それほどよく聞くわけではありませんが、「ワンチャン」はかなり生き残っている気がします。使い勝手がいいのか、生徒だけでなく気づけば私自身も自然に使うようになってきました。言葉の寿命の長短も様々です。

「タイムマシンがあったら過去か未来のどちらへ行きたい?」の問いに、私は今なら「未来へ行きたい」と答える気がします。1000年後の日本の言葉の世界が、どのようなものになっているかを確かめるために。 身近にあふれる生き物たちへの興味は尽きることがありません。


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