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スティックのりの青色が消える不思議

執筆:北嶺中・高等学校 理科教諭 高山 俊平


最近の「スティックのり」には、青く色がついているものがあります。下の写真のように、のりを塗った部分が青く色づき、のりが乾くと塗った部分が無色透明になります。のりの塗り残しを防ぐことができ、塗った部分がわかりやすく認識できる工夫がされています。


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このように、スティックのりを塗った青い部分が、乾くと無色透明になるのはなぜでしょうか?スティックのりに乾くと無色になる特殊な「染料」が利用されているからではありません。この理由は「pH指示薬」です。水溶液の液性が変わると色が変化する特徴をもつものを「pH指示薬」といいます。小学校の理科の実験では、リトマス試験紙やBTB(ブロモチモールブルー)溶液がよく使われます。リトマス試験紙に酸性の水溶液を触れさせると赤色に、アルカリ性の水溶液に触れさせると青色に変化します。BTB溶液では酸性の水溶液中に入れると黄色に、中性の水溶液中に入れると緑色に、アルカリ性の水溶液中に入れると青色に変化します。

少し話が脱線しましたが、スティックのりの色が変化するのは、成分に「チモールフタレイン」というpH指示薬が入っているからです。「チモールフタレイン」はアルカリ性で青色を示し、酸性や中性で無色透明になる性質があります。スティックのりはアルカリ性なので、塗ってすぐのときは青色になっており、表面が乾いてくると、空気中の二酸化炭素に触れることになるので、中和されて、チモールフタレインは中性になり、無色透明になるのです。

 ここで、pHについてお話します。pHとは水溶液の酸性とアルカリ性の強さの度合いを数値化したもので、0~14の数字で表します。pHの値が小さいほど(0に近づくほど)酸性が強く、pHの値が大きいほど(14に近づくほど)アルカリ性が強くなります。したがって、pHが7の水溶液は中性になります。身近なもののpHをまとめると、下の表のようになります。



pH指示薬の色が変化するpHの値は、pH指示薬の種類によって決まっており、スティックのりの中に含まれていた「チモールフタレイン」はpHが9.3~10.5の間で色が次第に変化します。スティックのりはpHの値が9くらいの弱いアルカリ性に保たれており、空気中の二酸化炭素に触れると、pHの値が小さくなり、無色になることがイメージできるでしょう。野菜やカレー粉など様々な食品の成分にもpH指示薬となる物質が利用されています。食品の原材料に書かれている物質を調べてみるとpH指示薬をさらに身近に感じてもらえるのではないでしょうか。


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