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同志社女子中学校・高等学校

進学教室浜学園が独自の切り口で中学校を取材し、その魅力をお伝えしていきます。

『あなたがたは地の塩である。あなたがたは世の光である。』というマタイによる福音書の一節を教育理念として掲げ、キリスト教主義に基づいて社会の各方面で奉仕する人間を育成することを目指す同志社女子中学校・高等学校。 校舎は京都御所の北、同志社大学の隣という理想的な環境にあります。 今回はそんな同志社女子中学校の辻村校長先生にお話を伺いました。
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同志社女子中学校・高等学校 校長 辻村好先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

キリスト教主義教育を最重視

―本日はよろしくお願いいたします。はじめに、御校が最も大切にされていることを教えてください。
本校で最も大切にしていることは、やはりキリスト教主義教育です。これだけは変えられません。毎朝の礼拝に加え、週1時間の聖書の授業を通して自身を見つめ、他者を尊重できるような生徒の育成を目指しています。
このキリスト教主義教育は戦時中においても守られ続けたものです。当時、高等女学校は宗教教育や宗教行事を行うことはできませんでした。そこで、本校は「同志社高等女学部」と校名を変え、各種学校の形でキリスト教主義教育を貫きました。太平洋戦争末期の1945年4月から数か月間、軍部の圧力がかかり、やむを得ず高等女学校として教育活動を行わざるを得ませんでしたが、その際も学校の敷地では行えない礼拝を、隣接する休園中の幼稚園において行っていたそうです。

社会に翻弄されても本来の自分を取り戻せる

―女子校教育の意義についての考えをお聞かせください。
キリスト教主義教育に基づいた本校や本校の生徒には、独特の雰囲気があります。これは創立以来あまり変わっていないものだと考えています。80歳を過ぎた卒業生の方と、今の生徒とはどこか似ているところを感じます。言葉で表すとすれば、屈託がなく明るく、優しいところでしょうか。彼女たちの原点に同志社女子中学校・高等学校があり、将来、社会の荒波に揉まれ翻弄されたとしても、本来の自分を取り戻せる場所があるというところに意義を感じています。
本校で優しさやしなやかさを身につけた卒業生は、社会の様々な場面において、自分の持つ力をみんなのために発揮してくれている人がほとんどです。例えば医者や弁護士などはもちろん、コウモリの研究者や盲導犬の訓練士、JICAの職員、牧場経営者など、彼女たちが活躍している場は多岐にわたります。他の人が通り過ぎてしまうようなところに興味や関心を持つのも、女子校ならではではないでしょうか。
また、本校は一日中音楽にあふれた学校でもあります。毎朝の礼拝での讃美歌から始まり、音楽の授業だけでなくあちらこちらから歌声が聞こえてきます。
興味の幅を広く持ち、困難や失敗を乗り越えて自分の力を上手に生かすことができる。これは在学中のみならず、社会に出てからも必ず彼女たちの力となると確信しています。

WRコースとLAコース

―御校のコース制についてご説明いただけますでしょうか。
本校にはWRコース(ワイルドローバーコース)と、LAコース(リベラル・アーツコース)の2つが設置されています。
WRコースは理系のコースとなっており、医療系学部や理工学部などを目指す生徒が学んでいます。このコースが設置される以前から、同志社大学にはない理系の学部を志望する生徒がおり、そんな彼女たちを全力でバックアップしたいという思いから生まれたのがこのコースです。現在では各学年約40人がWRコースで学んでいます。中学校においては、土曜日のみにWRコース生対象の特別授業が行われますが、高等学校に進学すると理系に特化したカリキュラムの下で授業が行われます。3年間クラス替えなしでお互いの夢や目標を尊重しあいながら切磋琢磨して学校生活を送ることとなります。また、WRコース(ワイルドローバーコース)という名称は、同志社の創立者である新島襄が乗った舟の名前に由来します。荒波を乗りこえ目的地に向かって突き進んでいく、そんなイメージがWRコースという名称に込められています。
一方のLAコースは、14学部を擁する同志社大学や、仕事に直結する学びができる同志社女子大学への進学を目指す生徒を対象としたコースです。この二大学には、内部推薦で進学することができます。これからの人生をしっかりと考えたうえで、数ある中から進学する学部を選択できるのが、このコースの大きな魅力です。
生徒に進路指導を行う際に我々教員が最も大切にしていることは、本人の希望を第一とするということです。一人ひとりが将来何になりたいのか、どんな道に進みたいのかを尊重します。彼女たちの多くが、「こういう場において誰かの役に立ちたい、だからこの学部に進学したい」といった考えに基づいて自身の進路を決めます。自分が他の人の力になったり役に立ったりしている将来の自己像から進学先を選ぶというところに、進路指導を行いながら毎年驚かされます。

先の学びの場が見え、一貫教育をより具体的にイメージ

―高大連携の強みについてお聞かせください。
まず、同志社大学や同志社女子大学と隣接していますので、大学生の姿を目にすることができ、常に刺激をもらえます。また、先輩や大学の先生から直接情報を得られるという点においては、各学部の研究内容や魅力のみならず、オープンキャンパスや学部説明会ではなかなか聞けないような話を聞ける機会にも恵まれています。さらに、本校の最終時限となる7限目の授業を受けた後に、高大接続の特別授業を受けられるのも本校ならではです。
同志社大学と一緒に学校説明会を行うこともありますが、中学校・高等学校での勉強を終えた先の学びの場が見えるということで、同志社での一貫教育をより具体的にイメージしていただけるというところも高大連携の強みであると考えています。

アクセス抜群の立地・豊富な教育資源

―御校の駅からのアクセスや周辺の環境などについてお聞かせください。
本校は、地下鉄の駅から徒歩6-7分の場所というアクセス抜群の位置にあります。周辺の歩道は狭いため、地下鉄を利用して通学する生徒には通学路として大学構内を通るよう指導しており、安全性がとても高くなっています。京阪電車の駅も近くにあるため、京阪電車を使用して通う生徒もいますが、本校から最寄り駅である出町柳駅までの景色がとても美しいです。鴨川を渡って四季の景色を目にしながら登下校をする。人の力ではできない癒しや慰めがそこにはあります。出町柳駅は始発の駅であるために、座って帰ることも生徒たちにとっては嬉しいことです。
また、年下の子どもたちを目にする機会もあります。隣接している同志社幼稚園に通う子どもたちが校舎の横を散歩したり、本校に訪ねてきたりすることがあります。子どもたちの声や姿を見て、小さな命を愛おしむことができる。それも恵まれた環境にある本校ならではです。
さらに、本校周辺には日本を代表するような教育資源も多くあります。高校3年生では、校外学習を頻繁に行うのですが、生徒たちが足を運ぶ場所として裁判所や茶道資料館、京都大学博物館や北野天満宮などが挙げられます。その際も連続した2時間を充てるだけで行って見学して帰ってくることができます。このような施設を実際に訪れることで、より深い学びが可能となっています。 何より、京都でも交通の便が良い位置にあるのにも関わらず、都会のようなコンクリートジャングルではなく、自然に囲まれた中に校舎があるというのが一番の魅力だと考えています。



―どうもありがとうございました。

取材日:2019年1月30日
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