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地球が丸いとわかったのはなぜ?

執筆:北嶺中・高等学校 理科教諭 有馬 清治


西暦2020年11月16日に、アメリカの民間企業により開発された宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げが成功しました。その乗組員の一人が日本人宇宙飛行士である野口聡一さんです。野口さんは今回で3度目の宇宙飛行となりました。私がいる北嶺中・高等学校が30周年を迎えたとき、宇宙飛行士であられた毛利衛さんも講演に来ていただいたとき、宇宙について同じように語ってくださいました。

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ちなみに、人類初の宇宙飛行を成し遂げた人はロシア人のガガーリンです。西暦1961年にガガーリンが肉眼で青くて丸い地球を見た初めての人となります。ところで人類はいつ『地球が丸い』ことに気が付いたのでしょうか?


そもそも地面は平らですから、地球は平面であったと考えて当然であり、平面の果ては崖で落下するのではないかと考える人も少なくなかったでしょう。


『地球が丸い』ということを科学的な理由をつけて最初に説明したのは、哲学者であるアリストテレスです。今からおよそ2300年以上前の話になります。アリストテレスは「月食のときに地球の黒く丸い影が映っていることから地球は丸いのだ。」と説明しました。その他に、夜に北に向かって移動すると、それまで見えなかった星が北の地平線上に現れ、逆に南に向かって移動すると見えていた星が隠れてしまうとも説明しました。野口さんや毛利さんとは異なり宇宙に行かずして『地球が丸い』と気付いたってすごいですね。


ただ多くの人々が『地球が丸い』と認識するようになったのはもっと後になります。西暦1500年前後に、コロンブスが船でアメリカ大陸を発見し、マゼランが船で世界一周を成し遂げた大航海時代にひろまったと言われています。ついでに、日本人が一般に『地球が丸い』と考えるようになったのは室町時代にあたる西暦1549年にフランシスコ・ザビエルがキリスト教を伝えた後、ヨーロッパのキリスト教の人々との手紙のやり取りで地球が丸いことについて日本人が数多く質問したことで広まったと言われています。あの戦国大名である織田信長もキリスト教を伝えに来たヨーロッパの人にどういう道のりを船でたどったかを地球儀を使って説明を受けたと言われています。


ところで『地球は丸い』とずっと言ってきましたが、地球は完全な球ではなく、地球の自転による遠心力によって少しつぶれ、みかんのような形をした「だ円体」です。地球の赤道半径はおよそ6378km,極半径はおよそ6357kmです。その半径の差はおよそ21kmととても大きいように見えます。例えば、コンパスで半径5cmの円を描いてみましょう。この円を地球だと考えると、半径の差はおよそ0.17mmと考えることができます。この差は円を描いた鉛筆の線の太さより小さいので、気にしなくてよく、無視することができます。したがって、みなさんはこれからも『地球は丸い』と考えて問題はありません。


みなさんが当たり前だと思っていることを、科学的に論理的に考えていくことが理科を学ぶ上で重要なことなんです。私のいる北嶺中・高等学校では「Sプロジェクト」と題して宇宙航空研究開発機構(JAXA)の見学や北海道赤平市の植松電機でロケット打ち上げ体験などの取り組みをしていますので、理科に興味がある人はぜひ。



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