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【中学受験】有名中学現役教諭の”国語”特別授業~入試問題のメッセージ~

有名中の授業は、好奇心をくすぐる仕掛けが盛りだくさん。そして、学ぶことの本質を突いた授業は、探求心あふれる生徒を育てます。さあ、あなたも知的な冒険に出かけましょう!

入試問題のメッセージ

執筆:北嶺中学校 国語科教諭 石津 諒也



人は一生で何冊の本を読むことができるでしょうか
 倉庫型書店と呼ばれる、ビルを何フロアもぶち抜いているような書店に行くと、そのなかでこれまで自分が手に取った本があまりに少ないことに愕然とします。
ある人は一生涯、月に10冊以上読み続けるかもしれませんが、学校を卒業したら1冊も読まない、という人も珍しくないはずです。そう考えると、強制的に本と向き合うことになる学校の授業というのは、それぞれの人生にとって貴重なものだと言えるのではないでしょうか。

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学校の入試問題も、そういう点で言えば、人々が本や文章と触れ合う貴重な機会です。入試問題はその学校からのラブレター、と表現した人がいますが、そこには、それぞれの学校が受験者に考えてほしいことなどが詰まっているはずです。



東京大学が入試で問うたこととは?
 たとえば2023年度の大学入試で、東京大学は「仮面」について考察した評論を出題しました。それぞれの土着の文化で、儀礼などに使われる「仮面」です。その意味や意義を論じている文章でしたが、これはもちろんコロナ禍を経て、マスクをつけることが当たり前になってしまった、素顔を覆い隠すことが日常になってしまった人々に、そのことを今一度考え直してほしい、というメッセージだったはずです。
東大は2022年にはナショナリズムについての文章を出しています。ナショナリズムとは、国家や国民といったまとまりを重視する考え方で、「それ以外の人々」に過激に当たるようになることも少なくありません。
実は20世紀末には、「21世紀は国境の意識が薄らいでいき、お互いに寛容になるだろう」という見方が支配的だったのですが、皆さんもある程度ご存知の通り、21世紀は現在までそのようにはなっていませんね。
グローバル化も進んではいましたが、新型コロナが流行し始めると、各国はいとも簡単に国境を封鎖してしまいました。実はこれは、人文科学系の言論界では、かなり衝撃的な出来事だったのです。
2022年という年に東大がナショナリズムをめぐる評論を出したことは、ナショナリズムが過去の遺物ではなく、現在進行形の問題であることを受験生に考えてほしかったのではないでしょうか。



一橋大学の出題に現れた問題意識とは?
 これらから分かるように、国語の試験問題は、単に能力を測るための素材、というわけではありません。もちろん、そこで測りたい能力が毎年変わっているわけではありませんが、その時々に、受験生が向き合うべきテーマを突きつけてくることも少なくないのです。
1つだけ例を挙げて終わりにしたいと思います。
2018年の年末に、論客として様々なテレビ番組から引っ張りだこだった2人が、ある文芸誌で対談を行いました。そこで2人は高齢者に多額の医療費が使われていることを問題視し、死ぬことが分かっているなら、延命治療はせずにそれを受け入れてもらうべきではないか、と話していました。もちろん、この意見への賛成派、反対派が入り乱れて、大問題になりました。
これに真正面から向き合ったと言えるのが、2020年度の一橋大学の入試問題です。ここでは鷲田清一の『老いの空白』という文章が出題されました。
現代社会では、成果や効率が優先されてしまいがちであり、反対にすぐさま結果に結びつかない経験は軽んじられている。こうした風潮のなかで、人々は経験を重ねること、つまりは「老いること」自体を軽んじてしまう。
この題材選びには、大学の明確な問題意識が見て取れるはずです。

人々が同じ方向を向き、それ以外が見えなくなってしまったとき、その盛り上がりに水を差し、あえて別の視点を提供する、というのが、言葉の力だと言えるでしょう。入試問題には、そうした言葉の力の一端が垣間見えるのです。

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