日本に住む人のくらしを知ろう!~食べ物編~(2)
野菜や果物はどこで作っているの?
北の北海道から、南の九州、沖縄まで、それぞれの地域で、気候や地形、場所に合った作物が作られているよ。たとえば、冬でも暖かい南の地域では、ビニールハウスなどで作物の成長を早める、促成栽培という農業がおこなわれているよ。代表的な作物はナスやピーマン、キュウリだね。ほかの地域より早く収穫して、出荷することができれば、その分たくさん売ることができるでしょう。
逆に、夏でもすずしい中部や関東の高原では、抑制栽培がさかん! レタスやキャベツなどを、ほかの地域でとれなくなった頃に出荷して、高い値段をつけてもらうんだ。
そして近郊農業も見のがせない。人口が多い大都市、東京・大阪・名古屋の近くでおこなう農業のことだよ。野菜や果物をたくさん消費する大都市に、新鮮な作物を届けられるという長所があるんだ。
日本の野菜作り、どこがすごい?
情報や交通が発達したことで、新鮮な野菜や果物を、必要な場所に、必要な分だけ届けられるようになったぞ。農家の人たちはコンピューターを使って、日本各地の市場の状況を調べる。そして自分たちが育てた作物がもっとも高く売れそうな場所や時期に作物を出荷するんだ。冷蔵庫なみの温度を保つトラックは、野菜や果物を遠い地域へ運ぶことができる。高速フェリーや航空機も活用されているぞ。
畑でもいろいろな工夫をしている。同じ畑で同じ野菜を続けて作ると(連作という)、野菜が病気になるおそれがあるため、レタスの次は別の野菜……というように、育てる作物を変えているのだ。また、安全なたい肥を使う農家も増えているようだな。
肉はどうやって作られているの?
日本で食べられている肉は主に牛・ぶた・にわとりだ。牛は肉を食べる肉牛と、牛乳をとる乳牛に、にわとりは卵をとるためのものと、肉を食べるブロイラーに分けて育てられている。このように、食につながる動物を育てている農家を、畜産農家と呼ぶのだ。
畜産農家は、広い土地がある地域に多く集まっている。なぜなら、動物を育てるには、たくさんのエサが必要だからだ。多くの牛は牧草を、ぶたは畑でとれる作物を食べて育つ。エサを作るためには、広大な土地が必要なんだ。
肉牛は北海道・鹿児島県・宮崎県、乳牛は北海道・岩手県・栃木県が主な産地だ。ぶたは鹿児島県・宮崎県に広がるシラス台地(※シラスと呼ばれる火山灰などの古い火山の噴出物が積もってできた土地。)で数多く飼育されている。一方にわとりは、大都市に新鮮な卵を運べる関東地方と、鹿児島県が主な産地だ。ブロイラーの畜産は鹿児島県、宮崎県、岩手県でさかんだな。
畜産農家の人たちの苦労を教えて!
国産の肉よりも、外国から輸入される安い肉や乳製品を買う人が増えていることだ。いくら畜産農家が広い土地を持っているといっても、エサの量が家畜の数に追いついていないことが多い。そのため、足りないエサは外国から輸入することになる。エサ代がよけいにかかった分、肉や乳製品の値段を上げなければ、家はもうけが得られない。せっかく育てた家畜の肉も、食べてもらわなくては意味がないからな。
また、このところ増えているのが、家畜の間で広がる伝染病だ。BSE(狂牛病)や口蹄疫ウイルス、鳥インフルエンザ……伝染病にかかった動物が、一頭、一羽でも発見されたら、その農家で育てている家畜はすべて処分しなくてはならないというルールがある。
畜産農家が受けるダメージははかり知れないな。
転載元:朝日小学生新聞「読めばわかる!日本地理」
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