【中学受験】有名中学現役教諭の”国語”特別授業~新年のお祈り~
有名中の授業は、好奇心をくすぐる仕掛けが盛りだくさん。そして、学ぶことの本質を突いた授業は、探求心あふれる生徒を育てます。さあ、あなたも知的な冒険に出かけましょう!
新年のお祈り
執筆:北嶺中・高等学校 国語科教諭 大谷 誓也
万葉集を知っていますか?
みなさんこんにちは。北嶺の中学校2年生では、いま『万葉集』について学習しています。『万葉集』は奈良時代につくられた、現存する日本最古の和歌集です。和歌とは、五・七・五・七・七のリズムで詠まれる詩のことで、現在では「短歌」という形で受け継がれている文芸です。ちなみに、この万葉集は5年ほど前に、とあることで話題になったんですよ。知っていますか?
そうです。「令和」という元号をつくるにあたって、この『万葉集』の一節を参考にしたと言われています。
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万葉集最後の歌とは?
そんな『万葉集』の最後はどのような歌で締めくくられるのか、みなさんは聞いたことがありますか?次のような歌です。五・七・五・七・七のリズムで読んでみましょう。新しき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)
大伴家持
「いや重け吉事」とは、「良いことがますます重なってほしい。」という意味です。これで大まかにこの歌の意味が想像できるのではないでしょうか。 みなさんがお正月に初詣に行くように、奈良時代の人も新しい年の始まりには「良い一年でありますように」と願ったのですね。また、降りつもってゆく雪に「良いことが重なっていきますように」という願いを重ね合わせているのが、この歌の面白いポイントです。