マップ(地図)からまなぶ(学ぶ)~防災
執筆:北嶺中・高等学校 社会科教諭 金子孝良
昨年も各地で大規模な自然災害がありましたね。3月の石川県・4月の長野県・6月の千葉県で起きた地震。7月の豪雨、9月の台風10号などです。7月の豪雨は、特に九州地方の熊本県や東海地方の岐阜県で河川の氾らんと土砂災害によって被害がとても大きく、特定非常災害に指定されました。特定非常災害には阪神・淡路大震災や東日本大震災など6例があります。そして、今年は阪神・淡路大震災から26年、東日本大震災から10年になりますね。
さて、みなさんは、自分が住んでいる地域のことを知っていますか。
まち(市町村)の歴史などは地元の史料館で調べたり、学校の授業で発表したりすることもあったでしょう。まちの地名からその土地の成り立ちや地形などがわかります。
例えば、札幌はアイヌ語で「サツ・ポロ・ペッ」、つまり「乾いた・大きい・川」の意味です。アイヌの人たちが市内の中心部を流れる豊平川をそのように呼んだからと言われています。ちなみに、北嶺中学校では道内の白老町にある『国立アイヌ民族博物館、ウポポイ(民族共生象徴空間)』に出かけて、アイヌ民族の歴史と文化を見学します。
豊平川は、河川敷に遊具や数種類のグラウンドがあり、マラソン大会や花火大会も行われる市民いこいの場です。東京都・神奈川県の多摩川、大阪府の淀川にあたるでしょうか。
しかし、この川は日本の大都市を流れる川の中でも有数の流れが急な河川です。大雨が降ると水が勢いよく流れ、多量の土砂を運んで堤防や橋を壊したこともあります。もし、堤防が切れると洪水は、南から北へ札幌市内を丸飲みにしてしまいます。
最近の大きな被害では1981年の豪雨により堤防が決壊しました。また、2014年には大雨特別警報が気象庁から発表されて、札幌市は避難勧告を発令し、携帯電話の緊急速報メールが何度も鳴ったことを覚えています。
ところで、私たちは位置や場所を確認する時に地図を使いますね。地図で住んでいる地域や通っている学校周辺の地形や土地利用を見ることは防災につながります。地図は過去の古いものを探し、現在のものと比較してみましょう。土地の高低の変化や川の流れの有無などを知ることができて、危険な場所・災害が発生しそうな地域がわかります。古地図はまち(市町村)の役所や図書館で見たり、インターネットで国土地理院のホームページや今昔マップを使って探したりできます。
また、最近では住んでいる地域のハザードマップが作成されており、札幌市では洪水ハザードマップ・地震防災マップ・津波ハザードマップ・土砂災害危険箇所などがあります。内容を少し説明しましょう。まず、洪水ハザードマップは、みなさんが住んでいる地域が河川の氾らんなどにより浸水、または浸水するおそれがある区域を色分けし、水害時に避難可能な場所などを地図上に示したものです。次に、地震防災マップは、地震が起きた時に予測される揺れの強さや液状化の危険度を段階ごとに色分けし、日頃の備えや地震発生時の行動などものっています。そして、津波ハザードマップは、過去に起きた津波被害、今後に想定される津波と札幌市周辺の浸水するおそれがある区域を図で示し、避難行動のイラストや避難に関係する標識の写真などがあります。最後は土砂災害危険箇所です。土砂災害とは、がけ崩れ・土石流・地すべりのことで、それらによる被害のおそれがある場所と避難所などを地図に示しています。
いろいろな地図を使って、自分たちの住む地域や郷土のことを知り、自然災害から身を守る防災についても学んでほしいですね。