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UTFR企画⑤:「落ちこぼれても、自分を信じた」机に向かわず勉強してきた東大生が小学生に伝えたいこと

東大合格の実績が少ない学校から東大に進学した学生からなる団体UTFR(University of Tokyo Frontier Runners, 東京大学フロンティアランナーズ)。いわゆる“東大進学校”の出身ではありませんが、自ら考え、選択し、行動して東大合格を果たした学生達です。そんな彼らの姿には、これから中学・高校選びをする親子にとっても学ぶものがあるのではないでしょうか。

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今回のUTFRメンバーは、東京大学文科Ⅱ類 松井慧祐さん。東京都内の公立中高一貫校出身です。卒業生の多くはGMARCH〜一橋大学へ進学しますが、松井さんはセンター試験の3日後に急遽志望校を一橋大学から東京大学へ変更しました。2次試験対策不足で不合格になり、仮面浪人を経て1年後に東大合格を果たします。

「小学校受験は落ちているし、小学校時代の進学塾や高校時代の塾の英語クラスでは落ちこぼれの方でした。学校の成績もけして上位層とは言えなかった。それでも、2次試験対策不足での不合格では納得できなかったので、本気でもう一度東大に挑もうと思いました。」諦めない粘り強さの大切さを教えてくれる合格体験記です。



子ども時代どう過ごしたか

両親はそこまで教育に詳しいわけではありませんでしたが、大学には入って欲しい、行くならいい大学を出て楽をして欲しいという考えは持っていたようです。結局落ちているのですが、小学校受験も経験しました。低学年の頃は関東の中学受験塾に通っていた時期がありましたが、ついていけなくて小3までに辞めています。

勉強に関して子どもの頃やってよかったと思うのは、あまり模範的ではないのですが「間違える練習をたくさんしたこと」です。算数のプリントをちゃんとやっていないと親にバレて怒られるので、そこでどうやったら一番手を抜いてできるかなと考え、答えを写すということを思いつきました。写しただけだとバレるから、答えをちょっとずつ変えたり、わざと間違えたり、いろいろな工夫をしました。するとかえって計算ミスが一気に減り、算数の成績が上がったのです。どうやって自然に間違えようかなと考えたことで、間違えの要因が分析されたのでしょう。親は形だけ見ていてやっていることは見ていなかったので、たまたま生まれたことだったかもしれません。

また、小4くらいからは読書をよくするようになりました。図書館の学習漫画から始まって、手塚治虫の『火の鳥』や星新一のショートショートへと移り変わっていきます。漫画から始まった読書ですが、読書によって読解力はかなりついたはずです。


中学高校時代から東大受験まで

小4くらいから読書にはまったといいましたが、中学校の図書館に司書の方がいたのは、僕にとってとても大きいことでした。その方がいなければ今はなかったかもしれないと思うくらいです。面白そうなSFを教えてくださいと伝えたら、ものすごく文字の多いSF全集を渡されました。それによって読書量が大幅に増えて、読解力はさらについたと思います。また、新着図書の中に希望する図書を入れてくれたり、受験生時代にはおすすめの日本史や地理の本を教えてくれたりしたのも、とても嬉しかったです。

僕は机に向かうのが嫌いだったので、特に高校の時は本を読むであるとかベッドの上で勉強したことが役に立ったという気がしています。新書など一つの出来事について詳しく書かれた本を読んで、そこで深くゆっくり考えるということを習慣にしていました。読んで暗記というよりは読んで考えることを重視していたのです。それが結果的に東大の二次試験では活きました。

いよいよ受験の話になりますが、僕はセンターが終わった3日後の夜に東大を志望することにしました。学校の中でも成績がそんなにいい方ではなかったし、僕が狙えるのは東大ではないと、ずっと思っていました。ですがある日、たまたま東大を目指している方のYouTubeを見ていたら、その方のセンターの点数が僕より下だったのです。この点数で東大を受ける人がいるなら自分も受けていいんだ、手が届くかもと思い、東大受験を決めました。早速この点数で東大を目指せるか、先生との面談で訪ねました。先生は慌てはしたけれど、否定はせずに応援してくれました。家族も驚いていました。

当然のことながら、その年の二次試験は不合格でした。そこで、もう一回東大をしっかり受けて終わった方が未練なく終われると思い、東大を再受験しました。敗因はしっかり過去問対策を取らなかったこと、東大二次の形式をよく知らずに受けたため、点数が何点も引かれたことでした。それがなければ自分はどこまでいけるのかを一回だけ試しておきたいと思いました。1年間仮面浪人し、サークルにも通いながら勉強を続けました。


進学校と非(東大)進学校の違いは?

仮面浪人で他大学を経験しているからか、入学して最初の東大の印象は「期待値に比べると東大って普通かな」というものでした。最初の入った段階では同級生と喋っても能力の部分はあまり見えませんでしたが、半年経ったころにようやく周囲の学力や能力の高さがわかってきました

進学校の人たちは、最初から知り合いがいるのが羨ましい点です。僕たちは自分から動かないと大学生活や授業に関する情報が得にくいところがあります。それから、いろんなことができる人が多いというところ。進学校は勉強だけというイメージが少しあったのですが、実際は勉強以外のことでいろいろな経験を積んできていました。数学オリンピックに出ていたり、海外留学を経験していたり、勉強が効率的にできているから他のことに時間を使えているのでしょう。

また、東大を目指すことが普通なのも羨ましいなと思います。僕にとって東大を志望するという心理的ハードルは高かったのですが、進学校の人たちは僕のセンター試験の得点よりも低くてもダメもとでも出願していたりします。そういう人は一浪していたりする場合もありますが、やはりパッと東大に出願すれば合格の可能性があるし、尻込みして出願しなければ可能性はゼロになってしまう。これは大きな違いです。

非東大進学校でよかったと思うところももちろんあります。例えばいろんな人が学校にいて、そういう人たちに出会えたことは自分の財産です。他の大学に行く人がマジョリティだったので、必然的に東大の外にもコミュニティを持つことができます。そういう視野の広さは非東大進学校出身者のアドバンテージかもしれません。

将来国を動かしていく人になるであろう東大生達に囲まれている中で、自分はそこまですごくないと感じることはあります。しかし、そんな人たちを間近で見ているというこの経験から、国を動かしている人たちの考えを知った上で行動できる人になりたいと今は考えています。東大が標榜する理念に「市民的エリートの養成」という言葉がありますが、僕は「エリートがわかる市民」になりたい。そんな目標を見つけることができたのは、やはり自分が非東大進学校出身だからです。


小学生に伝えたいこと

小学生の皆さんへ。とりあえず勉強しておくというのは、いいことです。勉強しておくということはその後何事に対しても役立つし、将来の選択を取ろうとしたときに役に立ちます。今の勉強は何事においても基礎になります

そして、保護者の方へ。いずれ子どもは自立していきます。いまは勉強しろ勉強しろと言わないと勉強してくれなくて、大変な日々があるかもしれませんが、いずそれをやめる日がくるということを思っていていただきたいです。一部の勉強好きな子を除けば子どもは勉強が嫌いなものなので、最初は「勉強しなさい」ということも大事だと僕は思います。しかし、お子さんに目標が生まれて自分で選択ができるようになったら、「勉強しろ」というのはやめていくのが重要なのではないでしょうか。それが子供の主体性を大事にするということではないかと僕は思います。

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