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UTFR企画②:「本当の失敗は、不合格ではなかった。」不合格から再起した現役東大生が小学生に伝えたいこと

我が子がこれからどんな人生を歩むのか。受験は、それを方向づける大きな選択になりえます。将来、お子様が難関大学を目指したいと思われることもあるかもしれません。難関大学への入り口とも言える進学校か、進学実績はなくとものびのびと育てる中堅校か……など、中学受験においても保護者様は悩むことがたくさんあるでしょう。

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日本の難関大学の中でも、特に「エリート集団」のイメージが強い東京大学。そんな東大で、UTFR(University of Tokyo Frontier Runners, 東京大学フロンティアランナーズ)という学生団体が2017年に発足をしました。出身地から家庭環境、東大合格に至るまでの経歴も様々な彼らは、普通であれば東大を目指さないような環境にある学生への支援活動を行なっています。


今回取材したUTFRメンバーの東京大学山崎達弥さんは、東大進学者数の少ない静岡県のご出身です。現役東大生としてテレビや雑誌にも出演されています。東大専門塾もほとんどなく東大志望者も周りにいない環境の中、一浪しながらも合格を果たした山崎さんは「高校の時まで、いい大学に行くことが将来の成功で、すべてだと思っていました。しかし今では、世の中は学歴ではなく、いろんな能力が必要なんだなということを身に染みて感じます。」と語ります。山崎さんが受験から得た糧と、将来東大を目指すかもしれない子ども達へのメッセージをご紹介します。



子供時代の過ごし方

昔から競うことが好きで、何事にも勝ち負けがないとやる気が出ないタイプでした。学校の体育でも「とりあえず勝ちたい」という気持ちで取り組んできたし、幼い頃から習っていたそろばんの大会で負けた時は、その場で思い切り泣きました。同じくそろばんをやってきた兄弟たちは負けてもけろっとしているので、不思議に思ったものです。


静岡県の田舎町に生まれ育った僕ですが、両親は地元の中では比較的教育熱心な方でした。やったことのある習い事はそろばん、ピアノ、水泳、空手、合気道、英会話、囲碁。受験云々のためというより、「いろいろな経験をしてみよう」精神からやらせてくれたのだと思います。中でも、そろばんは計算力と集中力を養えた点でやってよかった習い事です。大きな大会も経験させてもらいましたが、あれよりも緊張する場面はいまだありません。とても貴重な経験でした。


ほかにやっていてよかったのは、課題などはすべて最初にやってしまうという習慣づけです。友達と遊ぶ前に宿題を終わらせる、夏休みの宿題は7月中に終わらせて8月は思いっきり遊ぶ。人から言われたわけではなく、ただ後に残っているのが嫌だったからですが、課題を先にしっかり終わらせる習慣は、後々も締め切りに追われなくていいので今にも役立っています。


中高時代から東大を目指すまで

中学進学時には受験をし、地元の私立中高一貫校に入学しました。受験の理由は、高校受験をしなくていいこと、兄も同じ学校に通っていたことです。そろばんをやっていたお陰か、この学校の中で僕は勉強ができる方でした。ですが周りにはスポーツ等の分野で優れている人がたくさんいて、彼らのことは素直に尊敬していました。母校は近年2人の東大進学実績を出したばかりの学校だったのですが、静岡県自体が東大に進学する人が少ないところです。そのため僕も、高校に進んだ当初はもっと近くの通いやすい国立大学を志望していました。


高1の時の先生たちとの面談でのことです。3年前に僕の学校から初めて東大に合格した先輩の担任だった先生から、「この成績なら君も東大を目指せるぞ」と言われました。実は中学の時から、行けるなら東大に行きたいという気持ちはありました。しかし周りに東大志望者もおらず自分の実力もわからない中では、それは現実的な目標ではないと思っていたのです。そこにもらった先生からの一言。単純ですが、その一言がきっかけで東大だけを考えるようになりました。


受験勉強では塾には入らず、学校の勉強と通信教材だけで挑みました。それができたのは、学校に実力のある先生がいたからです。国語の先生はあまり教科書を使わず、最近のニュースを題材に、なぜこういうことが起こったのかを生徒に答えさせるなど、考えさせる授業をしてくれました。僕は東大を目指しているというのもあり、他の生徒より相対的に少し難しい問題を当ててもらいました。質問に行けば先生はいつでも答えてくれました。


そうして迎えた東大受験でしたが、結果は残念ながら不合格。一度は横浜国立大学に入学しますが、東大への気持ちは消えず、一年後に文科3類で再受験をしました。



(東大)進学校と非(東大)進学校の違いは?

東京大学で超難関校出身の人たちを見て驚いたのは、彼らは勉強以外にいろんなことをしてきているということです。社会活動や起業、数学オリンピックに参加してる人たちがいる。そういう人たちは、見えている世界が僕よりも広いし、大学に入っても大学の外の世界と積極的に交流を持とうとしている印象です。僕はまだまだ視野が狭かったなと思いました。


一方で、中学高校でいい学校を受験して、そのまま東大に入ってくるという人が多いので、その分受験に関してはみんな同じような経験しかしていないように思います。自分の経験が優れているとか、どちらがいいとか言うわけではありませんが、やはり彼らは「東大に来る」という点では苦労をしていない。僕は、東大に限らず、「受験をする」と言う経験は大事だと考えます。受験は、何か一つのことにすべての時間を費やすことができて、自分の限界、目標に挑戦できる数少ない機会です。うまくいってもいかなくても、その経験は自分の糧になるでしょう。その受験に全力投球をしてきた自分の経験は、特にこの東京大学においては貴重なものだと思っています。



失敗から伝えたいこと―「最後は自分の気持ちに正直に」

今僕は社会学を学んでいますが、実は最初は理科1類で東大を受験していました。その理由は、東大に合格した先輩が「うちの高校から東大に行くには理系じゃないと受からない」言っていたのを聞いたからでした。理系に興味があるわけではなかったのです。東大に落ち、一度は別の大学の理系学部に行きましたが、とてもつまらなくて辛かった。やはり自分は人や社会に興味があるのだと痛感しました。


自分が何をしたいかで学校や学部を選べるのが一番いいとは思いますが、それは実は難しいことだと感じます。僕は、それができなかった。失敗した立場だからこそ、僕は「周囲の意見を鵜呑みにするのではなく、最後は自分の気持ちに正直に決断してほしい」と伝えたいです。もし僕が自分で確固たる理由を持って理系を選んでいたなら、こんな遠回りはせずに済んだのかもしれません。でも僕は先輩の言葉を信じ込んで進路を選んだ。自分の気持ちに目をつぶってくだした選択は、きっとどこかで上手くいかなくなると、痛切に実感しました。


これから中学入試を受けようとする皆さんには、文理の選択や大学受験はまだ先のことすぎて、ピンとこない話でしょう。ですが、僕の経験から皆さんに通ずるものがあるとしたら、「第一志望に合格できたとしてもできなかったとしても、その先はどちらにも転がり得る」ということではないかと思います。


僕のように一度選択を誤ったとしても、その後次第で取り返しはつくのです。だからこそ、今のみなさんには勉強以外のことも楽しんでほしいと思います。勉強はもちろん大事ですが、自分の趣味や好きなことにもうちこむことで、いろんな経験が得られます。そして、自分の人生の大切な場面では自分の意思で決断できる人になる、そんなつもりでこれから過ごす学校でいろんなことにチャレンジしてみてください。ただ漫然と学校生活を送るよりもずっと実りのある日々になるはずです。それが自分の選択に迷いなく全力を投球できる状態につながれば素晴らしいことだと思います。




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