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スポーツを題材とした算数

執筆:北海道札幌市 北嶺中・高等学校 数学教諭 小刀禰 幹朗


小学生の皆さんも、受験などでとても忙しい日々を送っていることと思いますが、スポーツをする時間などもあるでしょうか。

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下の図1は硬式テニスのコートを表した図です。テニスのサーブは、図の▲の位置から真ん中にあるネットの反対側の模様がついた□の部分をめがけて打ちます。 実際のコートのサイズは、図2のAからBまでが、11.885m、BからCまでが6.40mです。ネットの高さは、中央部分と、端の部分で高さが変わりますが、真ん中の部分の高さは0.914mです。


 実際は、斜めの方向にサーブを打ちますが、今は、一つの例として図2のAの位置からからCの方向に向かってまっすぐサーブを打つことを考えてみます。このとき、真横から見た図が図3です。


さて、Aの位置に立つ人がサーブを打って、点線のようにボールをまっすぐ飛ばし、ネットに当たらないようにCの位置に届くようにするには、どのくらいの高さからボールを打てばよいのでしょうか。身長160cmの人がラケットを持ち、手を上げた時、ラケットの良い場所にボールが当たるときの高さが、240cmだったとします。


この身長160cmの人がC地点をめがけてサーブを打ったときに、ネットのところを通過するときのボールの地面からの高さは、三角形の「相似」という考え方を利用すると、次のようになります(2つの三角形の角度が全て等しいこと。簡単に言い換えると「形」が同じであることを「相似である」といいます)。


ネットの位置での高さを□mとすると、三角形の辺の比についての式から


6.4:(6.4+11.885)=□:2.4


 □≒0.84m となります。


ネットの高さは0.914mでした。すなわち、160cmの人が打ったサーブは、ネットの上の端から、7cmほど下にぶつかり、相手コートには届かないことがわかります。


果たして、Aに立つ人はどれだけの高さからボールを打てばよいのでしょうか。考えてみてください。ネットの高さを超えるときのA地点での高さを□として、比の式を作ってみると、サーブを入れることのできるギリギリの高さを求めることができます。


また、ボールが飛んでいく軌道と、地面との角度、ボールを打ち出す角度などを考えたい場合は、高校で習う三角比の考え方を用いることで、求められます。



さて、実際は、結構高いところからサーブを打たなければ、ネットを超えられないことがわかります。これは、なかなか大変です。


 しかし、身長が高くなければサーブを入れることさえ難しいのか、というとそうではありません。現実の世界では重力や空気抵抗などもあります。ボールは光のように真っすぐ飛んでいくわけではありません。また、ボールには色々な回転をかけて打ちます。


 実際は、サーブはまっすぐ下に向かって直線の軌道となるように打つわけではありません。特に身長が低い人は、上方向に向かってボールを打たなければ、相手コートには入らないということになります。


 最後に、先ほどの答えは、約2.61mです。「相似」の考え方を習っていなければ難しいかもしれませんが、算数とスポーツがこのようにつながることもあります。皆さんも身の回りの現象や、自分の体験を、算数の視点で考えてみるということも大切にしてみてほしいと思います。

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