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「暗記」から「理解」、そして「創造」へ…

執筆:四天王寺高等学校中学校 社会科教諭 平生 遠


 「社会は暗記」という言葉を聞くと、私はいつも悲しくなります。「社会」を学ぶうえで重要なことは、一問一答のテストで高得点をとることでしょうか、それともマニアックな用語を知っていること?いずれも、私には本当の意味での「社会」の学びとは思えません。では、「社会」を学ぶとは、どういうことでしょうか。

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少し歴史の話をしましょう。
「平安時代の貴族で摂関政治を行った人物は誰か」と聞かれると、多くの人が「藤原道長」や「藤原頼通」と答えるでしょう。では、「平安時代の貴族が有力な地位につくために大事にしたものは何か」という問いはどうでしょう。


この問いに対する一つの答えとして、日記を挙げたいと思います。日記というと、日々の出来事を記すことですが、平安時代の貴族は、自らが携わる政務や行事の内容も細かく記しました。当時の貴族社会では、政務や行事を決められた手順で行うスキルがなければ、有力な地位につくことが難しく、その意味でも日記は重要でした。さらに、貴族はこうした日記を子孫に受け継がせ、子孫の代でも有力な地位を得させようとしています。このようにみると、平安時代の日記は、政治の道具としての一面をもっていたことが分かりますね。藤原氏が摂関政治の全盛を築けたのも、日記のおかげといえるかもしれません。


これは一つの事例にすぎませんが、単に「暗記」するより、その時代をとりまく社会構造を「理解」しておさえる方が、より立体的に当時の「社会」をイメージできると思います。そして、このイメージこそ「社会」の学びでは最も重要なのです。


現在の日本も、少子高齢化、グローバル化、情報化などの社会構造が複雑に絡み合いながら展開しており、そのなかで私たちはさまざまなものを生み出しています。新型コロナウィルスによる新しい生活様式もその一つ。これから皆さんが生きる社会では、さらに誰も想像すらしなかったことが起きるかもしれません。その時、「暗記」している知識だけで対応できないことも出てくるでしょう。


なぜそうなったのか、物事の本質を「理解」し、どうすれば解決できるのか、新たな解決策を「創造」する力、これがこれからの社会で求められるスキルです。その第一歩として、まずは日々の授業、しっかり「理解」することからはじめてみてください。


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