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「分配法則」を活用してみよう

執筆:北海道札幌市 北嶺中・高等学校 数学科教諭 須藤茂樹

~問題:8に8を888回かけて7で割った余りを求める~

テーマの問題を解くにあたって、まず、試しに8×8や8×8×8を7で割った余りをふつうに計算してみましょう。


8×8=64で、8×8×8=512です。

したがって、64÷7=9余り1、そして512÷7=73余り1

どちらも余りは1だから答えは1かな?と予想できるかもしれません。しかし、いくつか試しに計算をして、その余りが同じだからといって、この問題の答えを示したことにはなりません。


実際にコンピューターに、8に8を888回かける計算をさせると、803桁の数になります。このような大きな数を単純な手計算で解くのは困難でしょう。


しかし、計算の仕方を工夫してみると、簡単に答えを出すことができます。

「計算のきまり」の中で習った、数の「分配法則」を活用してみましょう。

(〇+△)×□=〇×□+△×□(〇△□は数)という等式に成立する法則です。

(〇+△)×□は□×(〇+△)でも同様とします。


「〇と△を足して□をかけた数」は、「〇と□をかけた数」に「△と□をかけた数」を足した数と等しいという法則です。


例えば(1+2)×4と、1×4+2×4の答えはどちらも12になりますね。 8×8を、この分配法則を用いて計算します。 8×8の8は下のように7+1におきかえられます。

8×8=(7+1)×(7+1)


次に、後ろの7+1を「□」におきかえます。すると、分配法則から (7+1)×□=7×□+1×□と計算できます。

そして、おきかえた□を7+1に戻し、また分配法則を用いると、下のように計算できます。


7×(7+1)+1×(7+1)=7×7+7×1+1×7+1×1


7×7+7×1+1×7+1×1を7で割ったら余りは何になるでしょうか。

7×7、7×1、1×7はすべて7の倍数なので、この3つの数を足した数は同様に7の倍数ですから7で割り切れます。しかしさらに1×1を足した数は当然7で割り切れず、1余ります。確かに64÷7=9余り1ですから、この結果は正しいことがわかりますね。


次に、8×8×8を7で割った余りを計算してみましょう。

8×8=63+1すなわち64は(7の倍数)+1であることはわかっています。 ですから下のようにおきかえられます。


8×8×8=((7の倍数)+1)×(7+1)=((7の倍数)×7)+(7の倍数)×1+1×7+1×1


(7の倍数)×7、(7の倍数)×1、1×7はすべて7の倍数なので、それらを足しても7で割り切れます。しかし1×1は7で割り切れません。したがって余りは8×8と同様に1です。

8×8×8×8も同様にして8×8×8は7の倍数に1を足したものですから 同様に8×8×8 =(7の倍数)+1と表すことができます。すると 8×8×8×8=((7の倍数)+1)×(7+1)となり余りは1となります。 8×8×8×8×8も、8×8×8×8×8×8も、同じように考えて余りは1であり、何回かけても余りは1になることがわかります。

よって、8に8を888回かけた数の余りは1となります。



分配法則がこのように役に立つことがあると、わかってくれましたか。

なお、こういった整数の性質を問う問題を整数問題といいます。

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