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平行線は交わる

執筆:北海道札幌市 北嶺中・高等学校 数学科教諭 井上 直亮

今から2000年以上前の数学者であるユークリッドが記した『原論』という幾何(図形)の本の中に、公理として「平行線は交わらない」というものがあります。公理とは、証明できないくらいあたりまえの事実のことで、他に「点と点を直線で結ぶことができる」「1点を中心として、好きな長さの半径で円を描くことができる」などがあります。

しかし、この「平行線は交わらない」という公理に19世紀に異議を唱えた人たちがいました。彼らの主張は「平行線は交わることがある」というのです。

大きなノートに平行な2本の直線を書いて、ずっと延長することを想像してみましょう。10m先、1km先、100㎞先…いくら伸ばしても永遠に交わらないと思うでしょう。しかし、実は、それは間違っています。なぜなら私たちが住んでいる地球は球体ですので、どのように延長しても、地球を一周するとその円は、どんな場合でも必ず一番大きい円になるはずです。一番大きい円とは、図1のようにその円で地球を切ったときに、必ず地球の中心を通るということですね。とすると、2本の平行線は、一周すると必ず2つの一番大きい円になるので、その円は必ず地球上のどこかで交わっていることになります。

平行であると思っている人は、図2のようになると思ってしまいますが、実際はこういうことは起こりません。



つまり、球面上においては、平行線を引いたら必ずどこかで交わるのであり、平行線が交わらないのは、「どこまでも平らな平面上」での話であったということですね。

平行線が交わるような幾何の世界。これを非ユークリッド幾何学といいます。

この話で、私が面白いと思うのは、「平行線は交わらない」ということが「私たちの地球が丸い」という事実から崩れた常識の一つであるということ。あと、もう一つは、実は私たちが地球という絶対に「平行線が交わる世界」に住んでいながら、そのことに気づかずに、ずっと、「平行線が交わらない世界」を考えていたということです。このことが、数学者以外にも衝撃を与えました。

たとえば、話がまとまらず、すれ違うことを「対話が平行線に終わる」といいますが、ある学者は、この幾何の平行の話をたとえて、私たちが生きている世界は「対話が平行線に終わる世界ではない」と言います。つまり「対話が平行線に終わった」と思っても、どこかで絶対に交わっているのが私たちの世界であり、このことは、人間が人間同士の「対話」というものから決して逃れられないという事実にほかなりません。

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