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常翔啓光学園中学校

進学教室浜学園が独自の切り口で中学校を取材し、その魅力をお伝えしていきます。

「ラグビーが有名な男子校」というイメージから、「おせっかい」なほどの面倒見の良さは残したままで共学化し、進学にも力を入れている常翔啓光学園中学校。オリンピック基準で作られたクライミングウォールなど、施設面でもさらなる充実を図る本校を取材しました。
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常翔啓光学園 教頭 岩村聡先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

「一生の付き合い」だと思うから、適当なことはしない

常翔啓光学園といえば、かつてはラグビーをはじめとしてスポーツが盛んな学校というイメージが強かったですが、今はその伝統を残しつつ、進学にもかなり力を入れておられますね。
常翔啓光学園は、今年で開校60周年を迎えます。かつては「啓光学園中学校」という名称の男子校で、ラグビーの強豪校として知られていました。
共学化したのは8年前ですが、そのさらに10年ほど前からは、クラブだけでなく、進学にも力を入れてきました。

常翔啓光学園の特徴としては、教員に「おせっかい」が多いことが挙げられるでしょう。俗っぽい言葉を使えば、どんどん生徒に「絡んでいく」。自分が担任するクラス以外の生徒であっても、積極的に声かけをする教員が多いように思います。

常翔啓光はどこか泥臭いところがあり、何をするにしても、スマートにはなかなかできない(笑)。それでもとにかく生徒思い、生徒が好きやで!という先生が多いので、生徒と教員の距離が近いんです。

卒業したあとも、結婚や出産のタイミングで報告してくれたり、頻繁に遊びに来てくれたりする子がたくさんいます。そうなると、一生の付き合いですよね。
中高の6年間だけでなく、一生の付き合いになると思うから、教員のほうもより責任をもって指導する。「適当なことは言えないな」と、そういうわけです。


「新しい学び」の時代であっても、「トーク&チョーク」も大事にしたい

2020年の大学入試改革に向けて、御校ではどのような取り組みをされているのでしょうか。
まずは、ICT教育の設備が充実しました。生徒にはタブレットを貸与し、電子黒板、Wi-Fi設備も設置しました。デジタル教科書も購入しており、指導に取り入れています。デジタル教材は、生徒の集中力を保ち、注視力を高める効果があると感じています。

それから当然、グローバル教育、アクティブ・ラーニング型教育も推し進めているのですが……常翔啓光学園としては、やはり「トーク&チョーク」の指導も欠かせないものと感じています。

ICT設備もそうですが、ただ取り入れただけで生徒の学力が上がるわけではありません。それらを有効に活用するためには、基本的な知識、学力の基盤がなくてはならない。「新しい学び」は確かに重要だけれども、それだけを行うのではなく、一方では基礎を培っていきたいと考えています。


新しいマーケットを創出する「イノベーション教育」

最近は、「イノベーション教育」にも力を入れられているとお伺いしています。
「イノベーション」といえば、新しい価値、新しい概念を生み出すことです。海外で言えば、「iPhone」を生み出したApple社のスティーブ・ジョブス氏、日本で言えば、「スーパーカブ」を生み出した本田宗一郎氏などが有名なイノベーターでしょうか。

ところが今の日本を見ていると、この力がどうにも弱いように感じるのです。新しいマーケットを開拓し、価値を創造する力が足りない。10代のうちから、「イノベーション」について教育をしていかなければならないと感じました。

常翔啓光学園では、中学1年生から企業とタイアップし、大阪工業大学にて交流を行なっています。
たとえばトヨタさんがいらっしゃったときは、トヨタ式のものづくりを中学生に体験してもらいました。そのときは「未来のパーソナルモビリティ(一人乗りの、コンパクトな移動機器)を考える」というテーマで、「楽しさ」や「便利さ」を軸に、どのような乗り物が理想的か?という点について、生徒同士でディスカッションさせました。

そのあと生徒は、画用紙や粘土でプロトタイプ(模型)を作り、発表します。まさに、企業のものづくりの工程を体験できるようなプログラムでした。こういったプログラムを通じて、新しいマーケットを創出していくような生徒に育って欲しいというのが、我々の願いです。


生徒の新たな可能性をひらく、総合的な学習の時間

総合的な学習の時間も、ユニークに活用されているそうですね。
総合的な学習の時間に関しては、週に1回、ネイティヴスピーカーの講師をお招きし、英会話の授業を行なっているほか、調べ学習も取り入れています。

中学1年生では、NIE(Newspaper in Education)を行います。これは、新聞を読んで社会の課題を見つけ、その課題を解決するために生徒同士で話し合い、ポスターセッションをするものです。

中2ではそれを発展させ、過去の偉人の生きた姿を研究して、パワーポイントを使った発表を行います。このテーマでは、常翔啓光学園の生徒は「クエストカップ」にも出場しており、過去に3度グランプリを受賞しています。

そして中3では、卒業研究発表を行います。自分の興味のある事柄について調べ、どうしてだろう?と仮説を立て、必要があれば実験もして発表をするわけですが、本当にユニークな発表が飛び出します。

たとえば、「青いスパゲティは本当にまずいのか?」という発表などがありました。これは、「青色が食欲を損なうのは本当か?」という疑問に対して、実際に食紅で青く染めたスパゲティを作り、食べてみるという研究です。これがもう、本当に食欲をそそらない(笑)。私も試食したのですが、やはり食べてみて驚きました。味は本当に美味しいのに、脳がそこまでついていかないのです。

他にも、おじいさんがガンになったのをきっかけに、ガンについて調べた生徒もいました。「健康な人の体にも、ガン細胞は毎日生まれてくる」という事実を知り、本人は大変ショックだったようです。ガンは他人事ではなく、いつ自分が病気になるか分からない……。衝撃とともに、健康への理解が深まったようでした。

これらの活動を通し、生徒には変化がありました。たとえば入学時には、シャイで人前で話すのが苦手だった生徒が、今では生徒会長を務めるほどに成長してくれています。生徒の新たな可能性を開く意味でも、教育効果は高いと感じています。


「文化的知性」を育み、相互の理解・尊重ができる人間へ

グローバル教育については、どのようなこだわりを持って実施されているのでしょうか。
正直なところ、数年前までは、グローバル教育があまり強いとは言えない状況にありました。もちろん、摂南大学への留学生と交流する機会を設けるなど、様々な活動はしていたのですが、今日の国際社会が求めるレベルを満たせるか?と言われれば、まだもう一歩という状態だったのが現実でしょう。

しかし、今の世の中、好むと好まざるとにかかわらず、急速に国際化は進んでいます。大阪・なんばにでも買い物に出てみれば、いかに外国からのお客様が増えているかを実感する。もはや一刻の猶予も許されないと感じました。

これを常翔啓光学園では「文化的知性」と呼んでいるのですが、一般に日本では、他の民族の宗教、食文化などを理解したり、他の文化に身を置いて、相手の文化を尊重したりする力が弱いように感じます。

私は最近、韓国のチェジュに行ったのですが、韓国では、食事の時にはおわんを「持たない」のがマナーです。机におわんを置いたまま食事をするのですが、日本人は、たとえ韓国にいる間でも、おわんを持って食べてしまう。おそらくは、インドに行っても、ヨーロッパに行ってもそうでしょう。「郷に入っては郷に従え」と言いますが、それができていない、自分のスタイルを押し通してしまうわけです。

食文化をはじめ、相手のスタイルを理解し、尊重するのはとても大事です。自分のスタイルを世界中どこでも押し通すのではなく、「郷に入っては郷に従う」。
それを体感的に理解させるため、来年度には、韓国・ニュージーランドから留学生を迎えて交流することが決定しています。違う国の人と触れ合い、違った価値観を理解するためのイベントをいろいろと計画している途中なのです。


休日も一緒に遊ぶ!「タテ割り」のつながり

学校行事に関して、中1・中2・中3の「タテ割り班」があるとお聞きしました。これは、どのような教育効果を期待して導入されているのですか。
常翔啓光には、あちこちから生徒が集まってくれています。地元から離れて学校生活を送る生徒も多い分、クラブ活動などに入っていなければ、年上・年下との関係が作りにくくなってしまいます。すべての生徒が上下のつながりを持てるよう、「タテ割り班」を導入しています。

きっかけとなったのは、数年前のことでした。当時は、比較的近い地域の生徒同士で登校する班を組んでいました。そんなとき、休日に街を見回っていると、中1・中2・中3の生徒たちが一緒になって遊んでいる姿を偶然目撃したのです。全員、クラブ活動も違うのに、一体どういうつながりだろう?と疑問に思い、聞いてみたところ、登校班のメンバーだったのです。

学年の違う生徒同士で、休日に遊びにいくほどのつながりができていることは衝撃でした。そこで、そのタテ割り班を(少し形を変えて)継続しているのが今だというわけです。

学校には行事がいろいろとありますが、それぞれの行事が単発で終わってしまうのはよくないと考えています。一年を通じて、行事同士につながりがあり、一つの流れになっているというのが理想でしょう。

常翔啓光には、まずは年初のオリエンテーション合宿があります。中1だけでなく中2・中3も全員で出かけ、そこで初めてタテ割り班を作ります。
そのタテ割り班は、体育祭・球技大会にも続きます。一年間を通じて、先輩が後輩に指導していく。勉強の仕方、校歌など、すべてを先輩が教えてくれるという体制をとっています。


女子も大活躍のクラブ活動

今、注目のクラブ活動などはありますか。
運動部で言えば、ワンダーフォーゲル部ですね。5年連続でインターハイに出場するなど、めざましい成績を残しています。元々男子校だったとはいえ、女子の部員も多数おり、楽しくクラブ活動を行なっています。女子は体の柔軟性が高い生徒が多く、例えばクライミングに関しては、男子よりもむしろのびのびと行なっている印象です。いい形で、男女共学になったのではないでしょうか。

文化部で言えば、吹奏楽部が注目でしょう。創部3年目ではありますが、コンクールにも出場しています。ミューズホール(音楽棟)も完成するなど、施設面でのバックアップも万全で、これからの活躍に期待が高まります。

これは私の個人的な意見ですが、10代には、10代の間にしておかなければならない体験があると思います。成人してしまうと、心の柔軟性はどうしても落ちてしまう。そうではなく、心がやわらかい間にしておくべき体験がある。

クラブ活動では、「ここで自分が頑張らなければ!」というプレッシャーを感じることもあります。ときには悔し涙を流すこともあるでしょう。悪いことをして、先生に「こらー!」と怒られることもある。そういった体験は、今のうちにしておいて欲しいのです。


東京オリンピックを見越し、フル稼働の「クライミングウォール」。

「クライミングウォール」をはじめ、充実した施設面についても教えてください。
学園のメインの建物は三つあります。7年前に完成した1号館は、学習を中心とした建物。2号館は部室、トレーニングルーム、ホールなどがあります。そして、最も新しい3号館は音楽棟です。吹奏楽部が一斉に練習できる広さを持ち、音楽室も2つあります。それぞれをさらに半分に分け、パート練習に使用することもできます。楽器庫には一年中空調が効いており、楽器の保管体制もバッチリです。

何よりも珍しいのは、オリンピック基準で作られたクライミングウォールの存在です。3面のウォール(競技面)があり、ボルダリング、スピード、リードという3種目を同時に行うことができます。体験イベントを開くこともあるのですが、ありがたいことに、毎回抽選になるほどの人気を博しています。

クライミングウォールは、競技などでの利用問い合わせも多く、テレビ取材も受けるなど、常時フル稼働しています。2020年の東京オリンピックでは、クライミングが正式競技になりましたので、これからも注目を集める施設だと思います。

生徒から人気の施設としては、「おいしい」と評判の食堂ですね。法人内には3大学・2中高がありますが、どこも同じ業者さんにお願いしています。この4月から、また唐揚げが美味しくなりました(笑)。機会があれば、ぜひ召し上がってみてください。


「ハードルの低い職員室」がいつでも生徒を待っている

常翔啓光学園の良さをひとことでまとめると、どのような学校でしょうか。
インタビュー冒頭でも申し上げました通り、「面倒見のいい学校」という点でしょうね。たとえ担任クラスの生徒でなくとも、遅刻してきた生徒がいれば、「大丈夫か?いけるか?」と声をかけます。その面倒見の良さが、常翔啓光学園の良さではないでしょうか。

常翔啓光学園の生徒には、おとなしい子が多い印象です。それでも、先生と生徒の距離が近いので、職員室に入るハードルが低い。本当によく生徒が職員室にたずねてきます。進路に不安を抱えた生徒がふらっと立ち寄って、不安な気持ちを打ち明けることもあります。

面白い話としては、英語の追試は職員室で受けさせるのですが、職員室に入る際、生徒に英語を話させるのです。「May I come in?(入ってもいいですか?)」など、簡単な表現を覚えさせるのですが、そうこうしているうちに、追試になった子のほうが新しい表現を覚えていきます(笑)。生徒のフォローをきちんとし、ほったらかしにはしない。それが、常翔啓光学園の良いところなのです。


―どうもありがとうございました。

取材日:2017年11月22日
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