【環境とチャレンジ精神——志望校が東大になった理由】
志望校が4人とも東大になったことについて、世間では私が、なんか魔法にかけて誘導したかのように思っている方もいるようなんですが、そんなことは全然ないんですよ(笑)。本人たちが東大を目指した動機としては、やっぱり、「一番難しいところにチャレンジしたい」と思うようになっていた、というのが大きいでしょうね。
高校までの勉強では、とにかく学力を伸ばすことを追求していましたから。
そうなると、その学力を試したい、一番難しいところに行きたいっていう風になるんでしょう。
たとえば、走り幅跳びをずっと練習している子がいたら、まずは地区予選、次は県大会、それから全国……っていう風に、どんどん上の方を目指すじゃないですか。それと同じような感じだと思います。
あとは、やっぱり灘中学・高校に行ったというのも大きいです。
灘自体が、雰囲気としては理系の学校だったので。周りの子たちがみんな「東大、東大」っていう感じだから、自然と目指すようになったというところもあるんじゃないかなと思います。
環境とチャレンジ精神ですね。
【時流に合わせた方法で——リサーチの大切さ】
私たち親が生きてきた時代と、子どもたちが生きていく時代は全然違います。そして人間は、体験したことしかわからないですよね。
だから私は、長男が生まれた段階で、小学校1年生から6年生までの教科書をすべて取り寄せたんです。
教科書すべてに目を通したことで、「なるほど、今はこういう流れでいくのか」とわかりました。
「この付近で、うちの子どもはつまずくかも……」というポイントも把握しました。
最近の教科書には、ポップな内容もあるんだなっていうことに驚いたりもしましたね。
子育てをしていた時期は、ちょうど電子辞書の扱いで議論が盛り上がっている時期でした。
電子辞書は出てきたけれども、「やっぱり、紙辞書の方がいいんじゃないか」とかね。
灘校の先生にも、「 小・中学校の間は紙辞書の方がいい」とおっしゃる先生がいたんですが、うちの場合は率先して電子辞書を使わせました。
紙は重くて持ち歩きに困るし、ひとつのことを調べるにも時間がかかるから、と思って。
たまに親世代が、受験勉強の方法に的はずれな口出しをしてしまうことがあります。
「自分の時代は、問題文を全部写してから解いてた」とか……。
でも、やっぱり時代は変わっていくものですから、「いまの時流」をリサーチすることが大事だと思います。