【中学受験】子どもに「自分の意志で受験してほしい」と願っているのですが…浜学園学園長がお答えします!

小1女子の保護者です。私自身が浜学園に通って中学受験をしました。私は親に言われるがままに受験をしたので、子どもには自分の意志をもって中学受験をしてほしいと思っています。まだ小1なので中学受験というものにはピンときていないようですが、地頭はよい方で中学受験には向いていそうな気がしています。
小4になるぐらいまでに自ら受験したいと思ってもらうには、親としてどう働きかけるとよいでしょうか。
小4になるぐらいまでに自ら受験したいと思ってもらうには、親としてどう働きかけるとよいでしょうか。
子どもには初めてのことだらけ
このような悩みは、低学年のお子さんをおもちの保護者の方、特に浜学園のような中学受験塾にお子さんを通わせている保護者の方に多くいらっしゃるのではないでしょうか。子どもの成長を願う親の気持ちを表すものとして「這えば立て、立てば歩めの親心」ということわざがありますが、お子さんが小1くらいになると「立てば歩め」ではなくて、もう「走れ」と言う保護者の方がいらっしゃいます。目標値を急激に上げてしまうんですね。
しかし、それはいけません。子どもは初めてすることだらけですから、一つできるようになれば、一つ成長しているのです。大人から見たら当たり前のことをしているように思えますが、何か小さなことでも一つできるようになったら、それは成果としてきちんと褒めてあげることが大切です。これは必ずやってください。
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子どもの最初の一歩を褒めて
そして、粗を探してはいけません。「そんなにゆっくり歩いている場合ではない」なんて思わないでください。子どもは歩き始めたばかりで歩くことに慣れていないのです。そんな中で歩き始めて、歩くことに慣れていっていることが既に成果なのです。塾に通い始めた場合は、学校とは少し違うレベルの内容を学ぶ仲間たちが周りにいるという状態になります。そして、その子たちの中で速いスピードで歩く子がいたら「僕も」「私も」と思うようになるのです。そうすることで、歩くスピードが速くなり、走り始めることがあります。
保護者はその最初の一歩から褒めてあげることが大切です。
保護者は第一声にご注意!
私がよくお話しするエピソードの中に、小学1年生のお子さんについてのものがあります。浜学園には、小学1年生から参加できる「公開学力テスト」が月1回あります。小学1年生のお子さんは、最初の頃は保護者の方が付き添って来られることが多いです。日曜日にあるテストですので、お父さん、お母さん、ご家族そろって来られたりして、楽しそうなんですね。お子さんは保護者の方から「テストが終わったらご飯を食べに行こうね」などと言われて来ているのかもしれません。これはある意味だまされているとも言えますけどね。でも、子どもはそのままの勢いで楽しそうに教室に入っていくわけです。
それなのに、テストが終わって迎えに来られた保護者の方の第一声は「できた?」なんですね。
私はこれを聞くたび「言ってしまったか」と思います。
お子さんからしたら、テストを受けてきて、終わったらこれからご飯を食べに行けますから、「できた!」と言うんです。
その瞬間、私は「ああ、やっちゃったな」と思ってしまいます。
この状況だと子どもは当然「できた」と言うものですが、結果がそれに伴っているかどうかはわかりませんよね。周りのできがわからないのですから。
そして、テストが返ってきたとき、保護者から「あなた、できたって言ったじゃない!」と言われてしまうのです。
子どもの防御反応
このようなことを繰り返していると、子どもは身を守ることを覚えますから、だんだんと「できた?」と聞かれたら、「まあまあ」と答えるようになるのです。そして、学年が上がって6年生ぐらいになると、お子さんは「まあまあ」と言ったところで、保護者からは「まあまあできたって言ってたじゃない」と言われてしまうのがわかっています。ですから、保護者の顔を見たとたんに言葉は悪いですけれど「死んだ」という表現をするようになるんですね。
これは、防御しているのです。そういった気持ちから、こういう言葉が出るようになるのです。
まずは子どもを認める
低学年の子どもがテストの間1時間座っているだけでも、すごいことなのです。そして、テストを一生懸命頑張ったのなら、それだけで認めてあげてください。その年齢にしたら、頑張っているんです。
そこを認めてあげるところから始めないと、「次も頑張ろう」という気持ちにはなりません。それはそうですよね。頑張って怒られるなら頑張らないですよ。これはぜひ覚えておいてほしいところです。
これは、めったにないこと
子どもが自分の意志で中学受験をするというのは、まれなことです。時々、そういう子がいるとは聞いたことがあると思います。それは、本当にタイミングや縁、運などと同じように「そういうこともたまにはあるけれど、めったにはない」と思っていただけるとよいと思います。
子どもが何からやる気を得られるのかは、わからないものです。中学校の制服に憧れるなど、何がきっかけとなって子どもの心に響くのかはわかりません。
ですが、そういうきっかけに出会うことを待ち続けてあげないといけません。そして同時に、決して焦らず、きっかけとなるものに出会う機会を作る努力もしてあげてほしいと思います。
子どもは保護者の価値観の中で育つ
保護者であれば、すぐに「この学校に通ってほしい」と思えるかもしれませんが、子どもはそうはいきません。でも保護者は同じように思ってほしいとすぐに考えがちです。一方で、子どもというのは、勝手に価値観を作っているわけではありません。保護者やご家族の価値観の中で生きていますから、保護者の方が「この学校いいな、行ってほしいな」と思っていると、自然と同じ価値観をもちやすいものです。
それを無理に押し付けすぎてしまうと、反発が起こります。逆に、保護者の考えを無視して、どうしても自分の行きたい学校を目指すなら、それはそれで自分の意志で中学受験に臨み始めていると言えます。
たいていは、保護者の価値観の中で志望校や行きたい学校が決まっていきますから、押し付けすぎないことが大切です。
そして、保護者にできることは、子どもが行きたい学校を見つけられるようなきっかけやチャンスを用意することです。それだけでよいのです。
低学年の間に「自分はこの学校に行くために頑張る」というようになるのは本当にまれなことですので、そこは安心していただいてもよいと思います。
まとめ
- 子どもの成長を急かさず、一歩一歩を認めて褒める
- 子どもが自らの意志で受験を志すのは、まれなことと心得る
- 子どもは保護者の価値観の中で育つ
- 保護者は子どもが志望校を見つけるチャンスを用意する
この「それ浜学園がお答えしましょう!」では、灘中合格者数累計3296名、20年連続、39回の合格者数日本一(2024年度実績)を達成した「浜学園」の松本学園長が、中学受験や子育て情報をお届けします。
※このコンテンツはYouTube【中学受験】進学教室浜学園チャンネル(https://youtu.be/hH-FDFlMmYM?si=d9H6uRu49JK-Y9yx)を参考にまとめています。
進学教室浜学園